第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

感染防止

感染防止

[69] 歯科医療の現場におけるリスク対策

清水 正路 (公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会)

【はじめに】
歯科医療は学問の体系が異なり独自の進化を遂げてきたが,高齢化に伴い全身疾患との強いかかわりが認識されてきている.しかしその連携は進んでおらず新市場の取り組みや,安全対策,衛生管理なども遅れており整理と改革が必要である.患者にとって医療は共通であり,歯科と医科の言語や医療習慣の違いは関係がないため歯科のリスク対策が急務である.
【歯科用診察台の誘導退席について】
歯科用診察台は重量物であり患者の乗り降りの際には細心の注意が必要でありしばらく水平にした治療も多く起き上がるときに起立性低血圧を起こす危険性がある.歯科医院ではまだ靴を脱ぐ場合が多く高齢者にとって履き替えや院内の安定しないスリッパ移動はリスクを伴う.
【放射線について】
放射線に対する危機意識と知識が不足している.歯科医院のX線導入率は100%であるにもかかわらず,従業員の知識レベルが不均等である.
【感染,滅菌】
滅菌は危ない作業でありその認識がない,滅菌のスタンダードを従業員が理解しておらず,詰め込みすぎで滅菌できていない実態がある.また高圧蒸気滅菌機に対する安全管理と意識がないため火災や事故などの原因にもなっており,第三者の評価がない.
【診療に関する危機意識】
治療を医療機器に依存する比率が高いが機器のバックアップに対する考え方が稀薄している.そのため医療機器の不具合は致命的であり,予定された診療ができないことが多い.心臓部である機械室の重要性を認識し非常用などの機器体制を整えるべきである.
【診療,診断リスク】
口腔内に使用する器具は鋭利で細かなものが多いため誤飲の危険性があり洗浄の扱いも注意が必要である.診断については粘膜疾患など検査が必要な疾患のリスクを見逃すことがあるため各医療機関との連携は必須である.