第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

感染防止

感染防止

[72] 熱水洗濯機における日常管理の重要性

―洗浄インジケータによる管理―

川上 千森 (公益財団法人慈愛会 今村総合病院)

【目的】
 当院のセントラルサプライセンターでは熱水洗濯機を設置している.主に手術体位固定で使用したクッションや安全帯,病棟・外来で汚染されたリネン類を洗濯している.中には体液や血液で汚染されたものもある.洗濯機の工程は80℃10分の熱水処理がおこなわれる「血液除去」「感染対策」の2通りの工程を設定している.これらの工程で洗濯した後は目視での汚染は見られない.しかし,行程中に注入された洗剤が確実に拡散され汚染除去できているのかは不明である.また反対に汚染を拡大している可能性も否めない.そこで洗浄インジケータによる洗浄評価と培養検査にて熱水洗濯機の効果を検証した.
【方法】
洗浄評価をおこなう上で以下の物品で検証した.クッション(200×250×60)・安全帯(1100×100)・ガーゼ(80×80)このうちガーゼの一部で培養検査をおこなった.検証期間は一ケ月とした.4つの洗浄パターンで検証をおこなった.

【成績】
「血液除去」「感染対策」の工程で検証したパターン全て洗浄インジケータは洗浄されており安定した結果が出ていた.培養検査に関しては現在検査中である.
【考察】
消毒と滅菌のガイドラインより,日本においてリネンは熱水消毒の基本条件として80℃10分間が勧告されている.またCDCの環境感染管理ガイドラインにおいても熱水処理の必要性が明記されている.当院においては上記ガイドラインに沿った対策がとられているが,それを評価するものがなかった.リネン類においては二次感染の可能性が低いと思われるが,リスクがある以上洗浄評価による日常管理が必要ではないかと考える.
【結論】
洗浄インジケータによる評価は結果が安定している.洗濯物の内容にもよるが一定の洗濯物に対しては,注入された洗剤は確実に拡散,洗浄していることが実証できた.結果から洗濯量・内容を基準化することができるものと考える.