第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

滅菌

滅菌3

[75] 過酸化水素ガス滅菌における滅菌保証の検証

下前 恵, 河野 雅江, 清河 瞳, 内藤 千鶴 (広島大学 看護部 滅菌器材管理室)

【はじめに】
当院では2019年5月に過酸化水素ガス低温滅菌装置(以下滅菌器)を更新し,庫内の滅菌可能スペースが増量した.「医療現場の滅菌保証ガイドライン2015」では,適切な積載量の目安として庫内容量の7割程度と言われており,新機種でのPQを検証したので報告する.
【研究方法】
1.研究期間:2019.5.21~6.30
2.検証方法および評価
1)当院で使用中の器材を通常の方法で包装
2)積載量は前機種での量(ハーフコンテナ2個またはコンテナ大1個)を基準に増量
3)評価は各包装内部に入れたCIの変色状況で判断
【結果】
63回検証した.1群はハーフコンテナ2個~4個とパックを入れて検証し,CIの変色が不十分であった.2群はハーフコンテナ2個までとパックを入れて検証し,CIが完全に変色した.3群は電極コード8個~17個と音波ブラシのパックで6回検証し,3回目までは工程前にキャンセルとなった.
【考察】
1群は,コンテナの素材が過酸化水素を吸着したために内部まで滅菌剤が浸透しなかったと考える.2群は1群よりコンテナの個数を減らしたことで,過酸化水素濃度が維持でき,滅菌剤が内部まで浸透したと考える.両群の結果からハーフコンテナ2個とパック10個が適正な積載量と判断できる.これは,前機種と比較し1.5倍以上であった.3群は,3回目まで工程前チェックでキャンセルとなっており,原因は素材にしみ込んだ水分を検知したためであった.前機種では不明であった原因が判明し,対処することで電極コード16個と音波ブラシ2固までが滅菌可能となった.
【結語】
滅菌器更新に伴い新機種での最大積載量が特定できた.