第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

滅菌

滅菌3

[80] マイクロ波プラズマを用いた紫外線

ーオゾン発生装置による殺菌効果の評価

渡部 篤也1, 蓮沼 裕也2, 楠元 直樹3, 平岡 茂美4, 川島 徳道5, 徳岡 由一1,2 (1.桐蔭横浜大学大学院工学研究科修士課程医用工学専攻 徳岡研究室, 2.桐蔭横浜大学医用工学部生命医工学科, 3.東京工科大学医療保健学部臨床工学科, 4.Adatara マイクロ波技術部, 5.環太平洋大学国際教育学科国際科学研究所)

【緒言】
強力な酸化力を有するオゾン(O3)は,食品分野や医療分野にて除菌などを目的に利用されている.その際,O3は主に無声放電により生成される.しかし,無声放電には電極を使用するため,電極劣化が問題となる.また,空気中の窒素分子に起因する窒素酸化物(NOx)の発生が懸念される.マイクロ波プラズマを用いた紫外線-オゾン発生装置(本装置)は,装置内部に,水銀が封入された石英ガラス球を有する.この球にマイクロ波を印加すると,184.9nmおよび253.7nmの紫外線(UV)が放射される.一般に,184.9nmのUVは空気中の酸素分子に作用し,O3を生成する.したがって,本装置は,O3の発生に電極を使用しないため,電極劣化がない.また,184.9nmのUVは酸素分子に特異的に作用するため,NOXの発生もない.さらに,253.7nmのUVは,DNAを不活化させる殺菌線であるため,本装置には,O3と253.7nmのUVとによる高い殺菌作用が期待できる.そこで,EOG滅菌の指標菌であるBacillus atrophaeus ATCC 9372(B. atrophaeus)に対して殺菌実験をおこなったため報告する.
【方法】
B. atrophaeusを付着させたメンブレンフィルタを,本装置にてO3およびUVに曝露した.その際,装置内のO3濃度を60ppm,湿度を80%以上,240~270nmのUVの放射照度の積算値を300μW/cm2とした.曝露後,フィルタを生理食塩水に投入してよく撹拌し,その生理食塩水をTSA培地に10μL塗布し,30℃で7日間培養した.培養後,発育したコロニー数から生存率を算出した.生存率は,殺菌処理なしの系に発育したコロニー数に対する殺菌処理をおこなった系に発育したコロニー数の百分率とした.
【結果】
UV-O3併用処理およびUV単体処理の場合,曝露時間10分間で生存率は約1%となった.一方,O3単体処理の場合,曝露時間10分間での生存率は約50%であり,さらに曝露時間を60分間まで延長すると約1%まで減少した.この結果より,本装置は高い殺菌効果を有することが明らかとなった.