第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

医療安全

医療安全2

[82] 医工連携・病学連携・多職種連携により開発した腹水濾過濃縮専用装置の安全対策

福原 正史1, 青野 宏樹1, 田代 善彦2, 松山 和男2, 石川 正志2, 新垣 亮輔3, 田村 貴央3, 栗原 健士4, 和田 敏裕4, 曽我部 正弘4,5,岡久稔也4,5 (1.公立学校共済組合四国中央病院 医務局 透析センター, 2.公立学校共済組合四国中央病院 外科, 3.公立学校共済組合四国中央病院 産婦人科, 4.公立学校共済組合四国中央病院 内科,5.徳島大学大学院医歯薬学研究部 地域総合医療学)

【背景】
腹水濾過濃縮再静注法(以下CART)は,難治性胸腹水に対する有効な治療法であるが,濾過濃縮手技が煩雑で処理に付き切りになることが多く,施行困難であった.そこで,徳島大学,当院を含む関連病院,ものづくり中小企業(㈱タカトリ)はコンソーシアムを構築し,安全,簡単,確実に多量の胸腹水の濾過濃縮ができるCART専用装置(以下M-CART)を開発し,平成31年12月に上市した(医工連携事業化推進事業,AMED;中堅・中小企業への橋渡し研究開発促進事業,NEDO).
【目的】
今回,当院においてM-CARTを使用したCARTをおこない,装置の安全対策を検証した.
【方法】
対象は,平成30年10月より現在までに当院でおこなった10症例,40件(癌性腹水39件,肝性腹水1件).腹水採取と濾過濃縮液の点滴は病棟で,濾過濃縮は透析センタでおこなった.
【結果】
採取量は2,605±1,095g,1;回路内圧によって中空糸の目詰まりをモニタリングし,2;濾過器の自動膜洗浄機能や3;濃縮倍率の自動調整機能によって,採取した全量の腹水を処理することが可能であった.新規開発の4;チューブホルダー型回路セットによって,接続コネクタが接続する順に左から右に並べられ,床やバケツに接触して不潔になる危険性が軽減し迅速な装着が可能であった.また,5;クランプカバや6;ポンプチューブガイドによって,クランプや2連ポンプへのチューブの確実な装着も容易となった.さらに,7;安全フィルタホルダーによって,濾過器と濃縮器の直径の違いを利用してフィルタの取違えを防ぐことができ,8;自動リークチェック機能によって,濾過器の中空糸破損の簡単かつ確実な確認が可能となった.
【結語】
M-CARTは様々な安全機能や自動処理機能を装備し,担当者が濾過濃縮処理に付き切りになることなく,安全,簡単,確実に腹水の濾過濃縮処理が可能である.