第95回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

呼吸循環

呼吸循環

[91] 敗血症における使用中点検データベースを用いた医療機器の使用状況の分析

森 信洋1,2, 川原 靖弘2, 関根 広介1, 高倉 照彦1 (1.亀田総合病院 ME室, 2.放送大学大学院)

【背景】
敗血症は生命を脅かす感染に対する生体反応と定義されており,多くの医療機器によって治療されている.敗血症の研究の多くは,疫学や各治療方針の報告はあるものの,医療機器の使用台数や不具合に対する研究はない.
この研究の目的は,集中治療室における敗血症に着目して医療機器の使用中点検データベースを開発することで,敗血症における医療機器の台数と不具合内容を明らかにすることである.
【方法】
対象期間は2018年1月1日から2019年12月31日である.対象は敗血症であり,適格基準に該当した患者数は205人であった.主要評価項目は医療機器の台数とした.また,副次的評価項目は医療機器の不具合件数とした.
【結果】
敗血症を呈した患者は入院患者中13.8%(1487人中205人)で敗血症は31人,敗血症性ショックは174人であった.敗血症性ショックの年齢の平均値(標準偏差)は73±14歳であった.敗血症性ショックで使用されていた医療機器は,輸液ポンプ:5.5台,加温加湿器:0.9台,ハイフローセラピー(ブレンダー):0.4台,人工呼吸器:0.7台であり,これらの医療機器は敗血症と比すると多くの医療機器の台数を使用していた.副次的評価項目の不具合件数は両群間に有意な差は認められないものの,約1件の不具合を発生していた(1.1件 vs. 1.3件, p=0.61).
【結語】
本研究は敗血症において群間比較した結果,敗血症性ショックでは輸液ポンプ,加温加湿器,ハイフローセラピー(ブレンダー),および人工呼吸器を多く使用していた.また,群間比較に有意な差は認めらないものの,医療機器の不具合は約1件も発生していた.このことは敗血症の治療をおこなう上で医療機器の使用中点検データベースの重要性を示している.