第95回日本医療機器学会大会

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トレーサビリティ

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[97] 手術室動画システムを応用した手術室備品管理システムの開発

藤田 憲明, 髙橋 典彦 (北海道大学病院 手術部)

【目的】
大規模な手術室においては,超音波診断装置や内視鏡装置,各種高エネルギーデバイスなどは,種類,数量ともに増加の一途をたどっており,手術予約に基づく最適な配置や,保管,保守などの負担が大きくなっている.現状では,紙ベースの管理など人の手に頼る管理が一般的と考えられるが,予想される手術件数の増加や,労働人口の減少に伴い,より効率的な運用が期待される.非接触のICタグやビーコンなどで,位置情報を管理するシステムは存在するが,読み取り装置の設置など,やや簡便性にかけると考えられる.本研究では,既設の手術室動画システムを用いて,手術室内の備品の配置や動線を検知し,統合的に管理するシステムの可能性を検証した.
【方法】
手術室動画システムの画像を用いて,当院で所有する超音波診断装置,高エネルギーデバイスについて,人工知能(以下AI)を用いたDeep Learningにより自動的に動線追跡をおこなった.その情報を元に,機器が配置されている部屋および保管場所を記録した.
【結果】
1機種1台のみの超音波診断装置に関しては,画像認識を用いた動線追跡により,機器の設置された部屋の特定や,保管場所を特定することができた.しかし,同型の機器が複数存在する内視鏡装置および,高エネルギーデバイスについては,個体間の取り違えが発生し,動線追跡ができない事例も存在した.
【考察】
AIによる手術室備品の画像認識により,移動動線の把握や管理は可能であるが,とくに大学病院のような大規模手術室においては,同一機種が複数台存在するケースもあるため,画像認識のためのマーカーなどをつけるなど,個体認識のための工夫が必要と考えられる.しかし,電波ビーコンのような手法で同様の管理をおこなう場合に比べ,既存の画像システムへの機能追加で可能になるため,大規模な工事は不要であり,管理システムとして有用と考えられる.