第95回日本医療機器学会大会

講演情報

教育講演・次世代へつなぐ

教育講演・次世代へつなぐ3 医療機器感染対策の現状と未来

座長:内田 美保(公立小松大学)

[教育講演・次世代へつなぐ3] 医療機器感染対策の現状と未来

看護師の立場から

間平 珠美 (東京大学医学部附属病院 看護部)

医療機器は,「人若しくは動物の疾病の診断,治療若しくは予防に使用されること,または人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く.)であって,政令で定めるものをいう.」とされます.したがって医療機器は,不具合のないように整備し,使用する必要があり,医療機器を介した感染が成立してしまったら意味がありません.看護師の立場から,医療機器の感染対策についてお話しします.
医療機器感染対策の現状としては,スポルディングの分類に則った洗浄・消毒・滅菌が基本です.一次洗浄をおこなわず,材料部で洗浄・消毒・滅菌をおこなっている医療機器については,適切な搬送,保管をおこなえば,感染対策上の問題はありません.しかし,材料部で扱わないセミクリティカル,ノンクリティカルの医療機器の洗浄・消毒は看護師の担う部分が大きくなります.ウルトラソニックネブライザーや経管栄養の器材などはグラム陰性菌による汚染が多く報告されています.体温計や聴診器は,患者間で共有されることが多いですが,使用ごとにアルコール清拭が適切にされているでしょうか.患者に直接接しない輸液ポンプやモニタなどは,スポルディングの分類に入りませんが,患者が持つ微生物で汚染されていると考えられます.医療機器を介した感染を防ぐためには,現場で適切な処理を確実におこなえるようなルールづくり,確認が重要です.
医療機器を安全に使用するために整備・点検を担うのは医療機器管理部のスタッフ,クリティカルの医療機器の洗浄・消毒・滅菌を担うのは材料部のスタッフです.医療機器を適切に安全に患者に使用するためには,それら多職種のスタッフの仕事や役割を理解し,連携していくことが不可欠と考えます.
当院での現状をお話ししながら,今後の課題を見出していければと考えます.