第95回日本医療機器学会大会

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Educational Lecture Next Generation

教育講演・次世代へつなぐ4 医療機器保守管理の現状と未来―医療機器安全管理支援で適切な医療機器安全管理を―

Organizer:HiroakiTaue(AAA University)

[教育講演・次世代へつなぐ4] 医療機器保守管理の現状と未来

-医療機器安全管理支援で適切な医療機器安全管理を-

大石 杏衣 (Kiwi・臨床工学技士による医療機器安全管理支援)

大病院や透析業務では,医療機器管理業務だけでなく,臨床業務にも多くのCEが雇用されている.一方で,透析業務のない中小規模病院では,医療機器(以下機器)の種類や台数が少なく,人件費の捻出が難しい等の理由で,CEを正規雇用する施設は少ない.
私が勤めた118床の療養型病院では,人工呼吸器が平均15台稼働していたが,看護師はブランクが長く,離職率が高い特徴があった.機器は長期間使用されるが,機器に対する認識が低く,不適切な使用や間違ったトラブル対応によるインシデントも多かった.その経験から,中小規模病院こそCEによる機器管理や教育が必要であると強く感じ,2019年8月に個人事業としてCE不在の病院で医療機器安全管理支援(以下支援)を始めた.
CE不在病院の多くは,医療機器管理台帳(以下台帳)や定期点検計画表策定と実施が不十分であるため,支援では,それらの整備から開始する.その後は月数回の訪問で,機器点検やマニュアル整備,医療機器に関連するインシデント対策や教育等をおこなっている.定期訪問の支援という形であっても,看護師等の医療スタッフで無理なく正しい医療機器管理がおこなえる体勢を整え,教育することは,患者の安全だけでなく,医療スタッフの安心につながっている.
機器をなぜ保守点検管理しなければならないのか?なぜ医療機器安全管理にはCEが適任なのか?メーカの取扱い説明とCEの院内研修の違いは何か?そもそも,なぜ「医療機器管理」ではなく「医療機器安全管理」なのか?を私たちCEは常に心に留め業務をおこなう必要がある.また,病院勤務という枠に捕らわれない形で,CEの可能性を広げることで,より多くの病院で医療機器を安全に使用できるのではないかと考える.
今後,医療は大きく変化すると考える.しかし,医療機器は減ることはない.CEとして医療機器安全管理にどう向き合うかが私たちに求められている.