第95回日本医療機器学会大会

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Symposium

シンポジウム1 遠隔医療において医療機器が果たす役割

座長:畠山 登(愛知医科大学),小林 直樹(日本光電工業株式会社)

[シンポジウム1] 遠隔医療の普及に向けた医療機器を取り巻く環境

藤沼 敏弘 (日本光電工業㈱ ITソリューション事業本部 事業企画部)

近年,ICTデバイスの発展,ネットワークインフラ整備によりテキストデータはもちろん音声,画像の双方向通信が容易に使える環境が整ってきており遠隔画像診断,オンライン診療,救急医療,遠隔集中治療など活用場面が広がってきている.
運用形態もDtoD,DtoPのみならず,DtoN,NtoP,DtoP with Nなどさまざまなバリエーションでの取り組みが報告されており,遠隔医療が身近なものになりつつあり,それに合わせた医療機器開発も期待されている.
しかしながら遠隔医療はどの医療施設,どの患者でも利用するほど一般化,普及していないのが実情である.
通信技術,工業技術の側面では5G通信,ウェアラブルデバイスなどの技術革新を医療現場で活かすシステム,機器開発の促進が求められている.その他にも,聴診,触診,打診など基本診療行為をサポートする技術開発も含めこれからの発展が期待される分野が多岐にわたっている.
また,遠隔診療を実現するには,
・医師法や厚生労働省通知などに基づく各種法律,規則
・医療システムに関する厚生労働省,総務省,経済産業省のガイドライン
・各種学会が提示している遠隔医療に関するガイドライン
を考慮したシステム構築,運用が必要となる.
併せて,医療従事者も患者側も機器の性能限界,機器の故障,通信障害など遠隔医療ならではのリスクを理解して,適切な代替手段や技術サポート手段を準備することの重要性も認識しなければならない.
遠隔医療とは「距離を超えて,診療・治療を受けられる医療」であり,医療を提供する側,医療を受ける側共に“人”であり,人のつながりも重要なポイントになる.
今回のシンポジウムでは,遠隔医療の普及に向けて医療機器・医療システム開発に携わる立場で,遠隔医療の現状と課題を整理してみたいと思う.