第95回日本医療機器学会大会

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Special lecture

特別講演1 薬機法改正で動き出す、医療現場のUDI―医療用バーコード・電子タグのキホンから進むべき方向性まで―

座長:根本 裕司(ミズホ株式会社)

[特別講演1] ミニレクチャー:医療用GS1バーコード・電子タグの基礎

前川 ふみ (一般財団法人流通システム開発センター)

現在,日本を含め世界的に,医療製品に国際標準のバーコードや電子タグを表示する動きが強まっている.特に医療機器については,IMDRF(世界規制当局フォーラム)のガイダンスに基づき,国際整合性をもってその表示が進められている.
国際標準のバーコード,電子タグとして多くの国・地域で採用されているのがGS1(ジーエスワン)標準である.GS1標準は,製品を特定するための商品コードの標準化,そしてその商品コードを表示するためのバーコード・電子タグの標準化の両輪で構築されている.
GS1標準の商品コードの名称はGTIN(ジーティン:Global Trade Item Numberの略)であるが,日本では古くから国内の愛称として「JANコード」と呼ばれ,医療機器業界を含め,多くの業界で活用されてきた.
近年医療業界では,商品コードであるGTINのみをバーコード表示するのではなく,GTIN以外の情報,例えば有効期限やロット番号などもバーコードで表示し,より正確かつ迅速に商品を特定しようとする動きが出てきている.GTIN以外の情報もバーコードで表示するため,医療機器には,スーパーやコンビニで販売される商品に使われるバーコードではなく,「GS1-128シンボル」や「GS1データマトリックス」といった格納できるデータ容量が大きいバーコードが主に表示されている.さらにここ数年で,特に管理業務が煩雑な整形/インプラント,血管カテーテル/ステント関連製品に,一括読取りをすることができる電子タグを貼付する動きも出てきている.電子タグもバーコードと同様に,サプライチェーン全体で同じルールでデータの書き込み・読み取りができるようにすることが重要である.
今回,医療業界,特に医療機器のバーコード・電子タグに関する直近の動きを概説しつつ,今後の課題や展望について述べることとしたい.