第95回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

トレーサビリティ

トレーサビリティ

[T92] 透明カバー越しのダイレクトパーツマーキング(DPM)読み取り性能向上に関する研究開発

中野渡 寛之 (㈲東奥電気)

【背景】
弊社では,鋼製器具管理を目的としたDPMスキャナの研究開発を継続している.昨年度開発したスキャナは,東北・関東地方の医療機関において実用化に至っており,業界関係者から一定の評価を受けている.その一方,現場に投入されたことで,社内開発段階ではわからなかった課題も見えてきた.そこで本研究では,現場からのニーズを基に,透明カバー越しでもDPMを読み取れるスキャナの開発に取り組むことにした.
【目的】
透明カバー越しでもDPMを読み取れるスキャナを開発し,DPMスキャナの利便性を向上させる.
【方法】
一般的にはDPMスキャナに透明なカバーを掛けると,LED照明の影響でハレーション(読み取りに障害を与える反射光のこと)が発生し,性能が低下する.このハレーション問題を解決するために,三つの方面から性能向上にチャレンジした.一つ目は,LED個数,LED色,輝度,光学フィルタ,補助拡散板などの調整をおこない,それらをユニット化して実用的なサイズで機器内へ組み込むこと.二つ目は,視野範囲,フォーカス,露光時間,ゲイン,ノイズフィルタ,コントラストなどのパラメータ設定の最適化.三つ目は,DPM読み取りに適している透明なカバー素材を見つけた上で,どの程度のキズ,汚れ,摩耗まで性能を維持できるか確認することである.
【結果】
約半年ほど試行錯誤を繰り返し,カバー越しでもほとんど性能を落とさずにDPMを読み取れるスキャナを開発した.多少であれば血液がDPMに付着した状態での読み込みも可能であり,オペ終了時の回収作業への適用が期待できる.なお,昨年開発したタイプでもパラメータ設定次第でカバー越しの読み取りは可能である.カバー装着は現場からの要望がとても強く,将来的にカバー越しのDPM読み取りがスタンダードになると推測している.