第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

洗浄1

洗浄1

座長:市橋 友子(聖路加国際病院)

[1] 内視鏡再生処理業務中央化における効果の検証

冨樫 清英, 河野 絵理, 中崎 理恵子, 林田 史香, 東田 明美, 早坂 隆吾, 山内 朋子, 船迫 優子, 神舘 笑 (北見赤十字病院)

【初めに】
当院では,2011年6月より麻酔科所有軟性内視鏡の洗浄消毒業務を中央化し,段階的に2013年泌尿器科・ICU,2014年放射線科・産婦人科,2016年頭頸部・耳鼻咽喉科の内視鏡再生処理業務を中央化した.中央化は専門職員による再生処理作業のため感染対策上において有効な手段であるが,設備・内視鏡の購入等多額の設備投資が必要となる問題もある.一方,洗浄剤・消毒薬の削減,修理費用の抑制等メリットも存在する.そこで,過去10年において実施してきた内視鏡再生処理業務の中央化について効果を検証することとした.
【方法】
検証期間を2010年4月から2020年3月までの10年間とし,洗浄剤・消毒薬等の消耗品の変化を調査した.同時に修理費用の変化と修理内容を精査した.次に,外来における人員および環境についてヒアリングをおこない中央化前後の検証をおこなった.
【結果】
再生処理中央化前の各科における洗浄剤・消毒薬の費用を算出すると,各科合計1年平均190万円程の費用が必要となっていた.中央化後に当部署において増加した洗浄剤・消毒薬費用は1年平均80万円程増加していた.次に修理費用から算出すると中央化前後で約80万円削減され,洗浄剤等薬剤費用の削減額は約110万円であることから,年間190万円削減されていることになり設備の初期投資費用は約4年で回収できていることになる.修理内容についても,中央化後は高額修理の全てが劣化または診療中の破損であり,漏水による高額修理が0件となっていた.また,外来において消毒薬の臭いがなくなり患者からの苦情が減り,外来の業務減少に伴い看護助手の適正配置および診察の待ち時間短縮が図られた.
【結論】
中央化による内視鏡の再生処理は感染対策上の効果はもちろん費用削減が可能であり,環境改善による相乗効果が期待できると同時に内視鏡再生処理の中央化は働き方改革に伴うタスクシフトに大きく貢献できると思う.