第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

滅菌1

滅菌1

座長:大川 博史(日本ステリ㈱)

[10] 再生器材の滅菌有効期限延長へ

越川 広美, 千葉 均 (千葉大学医学部附属病院)

【背景】
医療用包装材料の素材革新により,滅菌性を損なう因子が減少していることが想定される状況にあって,「鋼製器材の滅菌パックの有効期限を6ヶ月に設定」されている.2021年1月,材料部の新設棟への移転に伴い,トレーサビリティシステムの導入が決定したことを機に『医療現場における滅菌保証のガイドライン2015』に準拠した「滅菌有効期限の延長ができないか?」と考え,検討・解決に取り組んだ.
【経過】
2018年度に新中央診療棟における材料部に個体管理を伴うトレーサビリティシステムの導入が決定.ここを旧泰然としていた材料部の業務の改革の時と捉え,その1つに病院経費削減にもつながる滅菌有効期限の延長に取り組むことを決定した.滅菌器械の保管状況の観察をはじめ,対象部署をはじめ確認方法や期間設定の検討などの準備期間を経て,2019年6月から感染制御部,検査部の協力を得て,2019年8月滅菌スタートし,滅菌3ヶ月後~12ヶ月後・15ヶ月後・18ヶ月後まで確認.滅菌15ヶ月後まで滅菌状態を確認している.
【課題】
1.対象とした滅菌パックは使用頻度の高い鑷子,鉗子であり,凹凸が殆どないパックである.保管中に損傷が生じる危険はないか.2.滅菌方法の違いによる滅菌状態保持に差はないと考えてよいか.3.病棟や外来の器械と手術用器械の大型滅菌パックを同一に考えてよいか.
【結語】
病棟および外来等に置いた鋼製器械の滅菌パックの中の器材を,1週間の塗抹培養で菌の発育がないことを確認した.15ヶ月まで確認できていること,病棟や外来の滅菌器械の保管状況と材料部同様新しくなった手術部の単品滅菌器械の保管状況に明らかな差がないと観察できることから,院内同一とすることを決定した.