第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

洗浄2

洗浄2

座長:村越 智(東京大学)

[15] 手術器械の再洗浄数の実態から今後の取り組み

下前 惠, 清河 瞳, 河野 雅江, 松本 恭子 (広島大学病院)

【はじめに】
広島大学病院では2013年9月に新棟に移転し新たな取り組みとして,手術器械の一括管理を開始したが,洗浄後の器材に蛋白や錆等の残留した器械が多く再洗浄となることが問題であった.洗浄評価判定ガイドラインにおいて「残留蛋白の許容値は200・目標値は100」と洗浄後の汚染度が定義されている.当院の汚染は定性検査では100に相当するものであった.そこで再洗浄数を減少させることが洗浄の質保証につながると考え,その実態を2年かけて調査した.その結果,改善につながる一定の指標が得られたので報告する.
【研究方法】
・再洗浄となった器械を汚染の種類で分類し記録する
・その実態から原因を分析し対策を考える
【結果】
2年間の再洗浄本数は22,670本でその内残留蛋白器材は9,312本であった.
【考察】
洗浄評価判定ガイドラインには「目視による判定はいつでもどこでも判定可能であり,日常実施している個々の器械の点検やセット組時に実施すべきである」と記載されている.当院では洗浄後の全ての器材において目視でのメンテナンスを実施する過程で発見した本数であり,残留蛋白は全体の41%を占めていた.洗浄バリデーションの検証結果から,当院では確実に洗浄できる汚染器械の本数として,洗浄籠1籠に入れる器材数は攝子30本迄と設定している.一方,手術器械はコンテナに設置している籠毎での洗浄を実施しているため,セットによっては50本前後の器械を積載している現状がある.残存の主な原因として,蛋白質の乾燥による器材への固着,器械の重なりによる不十分な洗浄,劣化した器械に汚染物が侵入し除去できない等が考えられるが,当院もこれらに該当しておりその対策が急務である.洗浄の質保証のために,手術器械本数の削減や固着防止対策の徹底等,他部署と協力して取り組んでいきたい.
【まとめ】
再洗浄の実態が明確になり対策が見いだせた.洗浄の質の保証には他部署との協力が必要である.