第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

トレーサビリティ

トレーサビリティ

座長:美代 賢吾(国立国際医療研究センター)

[27] シリアル管理による滅菌管理システムは“人を活かす”

河村 秀樹, 田代 弦, 鈴木 千里, 佐藤 衣里 (静岡県立こども病院)

シリアル管理による滅菌管理システムは様々な場面で有用性を発揮する.まず看護師を手術器材セット組みから解放した.当院ではそれを看護助手がおこなっている.当初は看護師を滅菌業務から看護業務へ戻した成果ばかりに目がいっていた.現在は看護助手を“人財”とできるよう体制づくりを模索している.
事例1:「器材Aが見当たらない」の問い合わせ.「滅菌は終わっているけど,手術室には降りてない.保管場所が間違ってない?」.「あっ,違う棚に入ってた!」
事例2:「布鉗子が見当たらない!」の報告に,「多分ゴミ箱?」.早速端末を操作.「回収されてない!やっぱりゴミ箱が一番臭い.」ゴミ箱から出てきたのは言うまでもない.
事例3:ある日,欠品が発生.予備もなく,購入が必要となった.(滅菌管理システムに製造業者,型番,納入業者などの情報が入っている.)端末操作一瞬で解決.直ちに発注.当該伝票を引っ張り出して繰らなくて良い.カタログを見ながら,「あれ?これ?」と悩まなくて良い.「探すこと」から人を開放.
事例4:インジケータの期限切れが発覚.そもそもは機器トラブルで滅菌に回らないと勘違いし,裏技で突破した.ふと思い返しインジケータを確認すると「期限切れ」.速やかにセットを同定,回収し,改めて滅菌した.
当院では看護助手5名が滅菌に従事している.常に滅菌器材と接している.滅菌管理システムを日常操作しているのも看護助手である.登録器材の位置情報,滅菌情報を端末上だけでなく,肌で感じている.上の事例はすべて看護助手が対応した.看護助手は医療教育を受けている訳ではないが,滅菌管理システムを駆使し滅菌業務を管理している.シリアル管理がそれを可能にしている.潜在能力を発掘し,「人を活かす」ことを可能にしている.定量的解析には至っていないが,シリアル管理の有用性を報告する.