第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

ものづくり/新技術

ものづくり/新技術

座長:沖野 晃俊(東京工業大学)

[35] 圧力センサを用いた一次救命講習会用胸骨圧迫評価ツールの試作

堀 純也, 矢野 真太朗, 岡田 紳太郎, 藤本 紫音 (岡山理科大学理学部応用物理学科臨床工学専攻)

新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から,現在,一般市民向けのBLS講習会の実施も自粛傾向にある.そういった中,人との接触を避けて,個人で胸骨圧迫の練習がおこなうことができる方法として空のペットボトルを圧迫する訓練法が提案されている1).この手法では,基本的に2人組で実施するか動画を見ながら1人でおこなう方法となっている.胸骨圧迫のリズム評価が動画を見ることなく1人でできればより便利になると考えられる.そこで本研究は,水を満たしたペットボトルのキャップに圧力センサを取り付けることで胸骨圧迫のリズムを可視化することを試みた.
今回作製したセンサは,胸骨圧迫によるペットボトル内部の圧力変化を防水タイプの感圧センサ(以下圧力センサ)で感知し,胸骨圧迫のリズムをシングルボードコンピュータ(Raspberry Pi 3)上で可視化するものとした.圧力センサと10kΩの電気抵抗を直列接続した回路に5Vの電圧を印加した.圧力センサの両端電圧の変化を12bit のA/D変換器(Adafruit, ADS1015)を介して,Raspberry Pi 3で計測した.計測プログラムの内容は,胸骨圧迫の速さ,1分間の胸骨圧迫回数および,CCF(胸骨圧迫比率)を表示するものとした.なお,プログラムはPythonで作成し,GUI化にはPyQtを用いた.また,圧力センサは,ペットボトルのキャップにエポキシ樹脂と紫外線硬化型で固定した.
本研究で作製した圧力センサ付きのキャップを水で満たしたペットボトルに装着し,胸骨圧迫をおこなったところ,胸骨圧迫の速さ, CCFを評価できるようになった.一般市民向けの講習会では,1分間に100~120回のリズムに適した音楽やメトロノームのリズムで胸骨圧迫の速さを体感してもらっているが,このツールを利用すれば,1人でも定量的に胸骨圧迫の手技を評価することが可能となる.

引用
1)一般社団法人ファストエイドホームページ,https://www.fastaid.co/, (参照 2021-02-22).