[39] 皮膚に対する微細な触覚刺激を用いた高齢者の足底皮膚感覚の評価
【目的】
本研究では,末梢神経障害等による皮膚感覚の知覚異常の客観的評価を目指し,簡便・定量的に感覚機能を評価ができる手法のための刺激呈示装置の開発を目指している.装置開発のための基礎的な知見として,健康な高齢者を対象とした足底皮膚感覚の評価をおこない,本装置の有用性を考察した.
【方法】
刺激呈示装置は,評価時に与える触覚刺激として皮膚の水平方向の微細な(マイクロメートルオーダ)皮膚のずれ(以下ずれ刺激)を採用した.本呈示装置を用いてずれ刺激を呈示し,その変位量(ずれ刺激を呈示する接触子の移動量)を用いて感覚閾値の計測をおこなうことができる.感覚閾値の計測方法には心理物理学的計測方法である上下8試行の極限法を用いた.研究対象者のデータは,全8試行の平均値を算出し,その値を閾値とした.実験では,健康な高齢者を対象とし,まず足底部の皮膚の硬さと温度,Semmes-Weinstein Monofilaments test(SWMT)を用いた感覚閾値の計測をおこなった.さらに,右足足底の複数部位(母趾・母趾球・踵)におけるずれ刺激に対する感覚閾値の計測をおこなった.
【結果】
はじめに,皮膚の硬さについては,全研究対象者の平均値を比較すると,踵・母趾・母趾球の順番となり,踵が最も硬いことがわかった.次に,皮膚の温度についても同様に,平均値を比較すると,母趾・母趾球・踵の順番で温度が低下していき,母趾が最も温度が高いことがわかった.そして,ずれ刺激に対する感覚閾値の計測結果から,踵・母趾球・母趾の順番となり,踵の閾値が最も小さいことがわかった.他方,SWMTを用いた感覚閾値の計測結果から,母趾・母趾球・踵という順番で感覚閾値が大きくなる傾向にあることがわかった.
【結論】
本研究では健康な高齢者を対象とした足底皮膚感覚の評価をおこない,今後,本結果から,各研究対象者の足部の特徴および皮膚感覚の評価方法についての触覚刺激の有用性を検討していく予定である.
本研究では,末梢神経障害等による皮膚感覚の知覚異常の客観的評価を目指し,簡便・定量的に感覚機能を評価ができる手法のための刺激呈示装置の開発を目指している.装置開発のための基礎的な知見として,健康な高齢者を対象とした足底皮膚感覚の評価をおこない,本装置の有用性を考察した.
【方法】
刺激呈示装置は,評価時に与える触覚刺激として皮膚の水平方向の微細な(マイクロメートルオーダ)皮膚のずれ(以下ずれ刺激)を採用した.本呈示装置を用いてずれ刺激を呈示し,その変位量(ずれ刺激を呈示する接触子の移動量)を用いて感覚閾値の計測をおこなうことができる.感覚閾値の計測方法には心理物理学的計測方法である上下8試行の極限法を用いた.研究対象者のデータは,全8試行の平均値を算出し,その値を閾値とした.実験では,健康な高齢者を対象とし,まず足底部の皮膚の硬さと温度,Semmes-Weinstein Monofilaments test(SWMT)を用いた感覚閾値の計測をおこなった.さらに,右足足底の複数部位(母趾・母趾球・踵)におけるずれ刺激に対する感覚閾値の計測をおこなった.
【結果】
はじめに,皮膚の硬さについては,全研究対象者の平均値を比較すると,踵・母趾・母趾球の順番となり,踵が最も硬いことがわかった.次に,皮膚の温度についても同様に,平均値を比較すると,母趾・母趾球・踵の順番で温度が低下していき,母趾が最も温度が高いことがわかった.そして,ずれ刺激に対する感覚閾値の計測結果から,踵・母趾球・母趾の順番となり,踵の閾値が最も小さいことがわかった.他方,SWMTを用いた感覚閾値の計測結果から,母趾・母趾球・踵という順番で感覚閾値が大きくなる傾向にあることがわかった.
【結論】
本研究では健康な高齢者を対象とした足底皮膚感覚の評価をおこない,今後,本結果から,各研究対象者の足部の特徴および皮膚感覚の評価方法についての触覚刺激の有用性を検討していく予定である.