第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

テレメータ

テレメータ

座長:新 秀直(東京大学)

[40] 医用テレメータ受信障害に対する漏洩同軸ケーブル再敷設による電磁波環境改善の試み

余川 絢音1, 鈴木 哲治2, 木南 伸一3, 中島 章夫2 (1.金沢医科大学氷見市民病院 ME部, 2.杏林大学保健学部臨床工学科, 3.金沢医科大学氷見市民病院 一般・消化器外科)

【背景・目的】
医療機関では,医用テレメータをはじめ電磁波を用いたME機器が多数使用されている.医用テレメータからの送信電波は,漏洩同軸ケーブルやホイップアンテナなどを介してセントラルモニタで受信される.しかし,受信障害やリード線外れにより生体情報が表示されず,急変対応が遅れるなどのインシデント報告も散見されている.本研究では,当院での漏洩同軸ケーブルの敷設ミスに起因したテレメータ送信機からセントラルモニタへの受信障害の経験を元に,漏洩同軸ケーブル再敷設前後での電磁波環境の定量的評価を目的とした.
【方法】
医用テレメータからの送信電波の電界強度は,再敷設の前後で,天井裏の漏洩同軸ケーブルからセントラルモニタへの入力を分岐させ,スペクトラムアナライザに入力し,テスト用送信機(Ch.2060)を各測定点に移動させ測定した.測定点は,漏洩同軸ケーブルの敷設に沿った8箇所とした.
【結果・考察】
受信障害が発生した病室周辺(測定点5)のCN比は,漏洩同軸ケーブル再敷設前の22.88dBと比べ,再敷設後では病棟内全測定点で30dBを上回った.これら結果より,再敷設前に受信障害が発生した測定点5はセントラルモニタから離れた位置であり,漏洩同軸ケーブル用ブースターで信号が十分に増幅されず正常に受信できなかったが,再敷設でブースター位置を変更したことで受信状態が改善(信号が増幅)したと考えられた.
【まとめ】
当院で発生した医用テレメータ受信障害の原因調査により,設計と異なる漏洩同軸ケーブルの敷設ミスが確認された.再敷設前後で電磁波環境を調査・定量的に評価することで,漏洩同軸ケーブル,ブースターの適切な敷設位置が検討できた.また,今回医用テレメータ使用周波数が含まれる213~540MHzの範囲で 33MHz間隔のノイズ信号が測定されたことから,今後発生源の特定,対策検討が必要と考えられる.