第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

テレメータ

テレメータ

座長:新 秀直(東京大学)

[43] 医用テレメータの簡易スペクトラムアナライザ機能に関する検討

兪 振翔1, 加納 隆2, 廣瀬 稔2 (1.阪和記念病院 臨床工学部門, 2.滋慶医療科学大学大学院医療管理学研究科)

【目的】
医用テレメータの電波受信状況を定期的ならびに定量的に調査することは重要である.そこで,医用テレメータの電波管理用ツールとして医用テレメータに内蔵されている簡易スペクトラムアナライザ機能(以下簡易スペアナ機能)に着目し,簡易スペアナ機能による測定データと市販のスペクトラムアナライザ装置(以下Tスペアナ)の測定データとの比較から簡易スペアナ機能の有用性を検討した.
【方法】
1.電波環境調査用の据置型送信機を調査対象場所(各病棟の病室内など)に置き,各病棟のアンテナシステムで受信される電波強度をTスペアナで測定した.また,同様の条件で,Tスペアナ,N社またはF社の簡易スペアナ機能にて受信される電波強度を同時に測定した.
2.他病棟で使用されている携帯型送信機から受信される電波強度をTスペアナ,N社またはF社の簡易スペアナ機能にて同時に測定した.
【結果】
1.各病棟のアンテナシステムで受信される電波強度は,病室のドアの開閉状態や同室内の測定位置による大きな差異はなく,良好な受信状況が確認された.また,簡易スペアナ機能の場合は,測定された電波強度レベルが十分高かったこともあって,多くの測定データが簡易スペアナ機能の測定限界を超えた結果となった.
2.他病棟で使用している送信機からの電波強度は対象病棟における電波強度よりも低いレベルであったが,簡易スペアナ機能でも十分に測定可能であった.
【考察および結論】
簡易スペアナ機能でも病院内の医用テレメータの電波強度レベルの調査に十分利用できると考える.また,今回の調査では電極コードがアンテナになっている携帯型送信機ではなく,アンテナがポイップアンテナになっている据置型送信機を使用したが,これは送信機から発射される電波強度レベルの安定性・再現性に有効であり,電波受信状況調査の信頼性の向上に寄与したと考える.