第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

手術室/ICU

手術室/ICU

座長:髙橋 典彦(北海道大学)

[50] タブレット端末を用いた業者貸出器械管理の効果

鎌田 大樹 (独立行政法人地域医療機能推進機構秋田病院)

【背景・目的】
現代の手術において,業者貸出器械(loan instrument:LI,以下LI)の使用は必要不可欠である.A病院手術室では,LIを手術室看護師が管理している.短期借用のLIに関しては借用時に数を控え,手術前後は数のみで員数確認をおこなっているというのが現状である.これらの方法では視覚的な情報が少なく,スタッフからは「再セット時,一度で数が合わないことがある」「担当していない手術のLIを再セットする際には詳細がわからないため不安である」といった声があり,LIの状態および員数確認方法の見直しが必要であると感じていた.そこで,A病院手術室にタブレット端末によるLIの管理を導入し,その効果を検討したため報告する.
【方法】
令和2年6月から令和2年11月まで,タブレット導入前後に,LIの破損ならびにエラー発生件数の集計,器械再セットに要する時間の計測をおこなった.員数等を記入した用紙とLIをタブレット端末で撮影.画像と照合し員数確認をおこなった.手術室所属全看護師に対し,タブレット端末導入後に質問紙による意識調査をおこなった.
【結果および考察】
期間中のLIを使用した手術は導入前が20件,導入後が34件,計54件で,導入前後ともに器械の破損,エラー発生件数は0件であった.器械のセットに要した時間は,タブレット端末導入前が平均7分40秒(n=20),導入後が平均7分52秒(n=34)で有意差はなかった.以前より正確に員数確認をおこなえるようになったと感じるかという問いに対して所属看護師全員が「非常にそう思う」「そう思う」と回答した.自由記載では「員数が不一致の時,画像と照らし合わせることで何が足りないかすぐに分かった.」と回答があった.これらの意識調査の結果から,タブレット端末による視覚的な情報が加わったことで,員数確認の正確性向上の効果が示唆された.今後はタブレット端末によるLIの情報更新をおこない,多様な変化に対応することで,安全性向上を目指していきたい.