第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

手術室/ICU

手術室/ICU

座長:髙橋 典彦(北海道大学)

[53] 大震災直下での手術台の転倒の可能性についての検証

堤 貴彦1, 趙 晃済1, 相田 伸二1, 下戸 学1, 大鶴 繁1, 倉田 真宏2 (1.京都大学医学部大学院医学研究科 医療情報学教室, 2.京都大学防災研究所)

【背景】
震災では,医療機関も大きな被害を受ける.これまでの震災では国内外を含めて様々な被害報告がなされているが,大震災が起こった瞬間の手術台の転倒の可能性について検証された報告はない.今回,手術台の転倒の可能性について検証したので報告する.
【目的】
大震災発災時の手術台の動態を検証すること.
【方法】
強震応答実験装置(振動台)上に手術台を設置し,入力地震動としてパルス性地震動(JMAKobe)および長周期地震動(OS2)を加え,手術台の動態を検証した.実験変数として,以下の6点を検証した.1:手術台の種類(ミズホ社VS600,5602) 2:床材の有無(コンクリートまたは床材あり) 3:模擬人形(177cm75kg)搭載の有無 4:手術体位(仰臥位,頭低位) 
5:入力地震動の種類(JMAKobe,OS2) 6:入力地震動の強さ(50から100%で検証)観察項目として,1:設置部位からの手術台の移動距離 2:地震動入力時の動態(ロッキング,転倒)の2点を観察した.
【結果】
JMAKobe70%出力では,人形あり/床材なしの条件下ではVS600,5602共にロッキングを認めた.人形あり/床材ありの条件下では5602にロッキングを認めた.OS2 80%出力では,人形あり/床材なしの条件下で5602にロッキングを認めた.0S2 90%出力では,人形あり/床材なしの条件下で5602は転倒した.
【考察】
大震災発災時に手術台が転倒する可能性について示唆された.ロッキングや転倒などに関与する因子として,床材がないこと,模擬人形の搭載,地震動の強さが挙げられる.
【結論】
大震災発災に手術台が転倒する可能性があることが示唆された.ただし,床材のある実際の医療機関に近い環境では被害が緩和される可能性がある.