第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

手術室/ICU

手術室/ICU

座長:髙橋 典彦(北海道大学)

[54] ラジオ波電気手術器使用時の電動式ドリルの誤作動の検証

齋藤 祐平1, 深柄 和彦1, 村越 智1, 室屋 充明1, 山神 良太1, 上寺 祐之1, 小山 秀一2, 谷田 勝志2, 久保 仁2 (1.東京大学医学部附属病院 手術部, 2.東京大学医学部附属病院 医療機器管理部)

【はじめに】
ラジオ波電気手術器は,手術の際の切開・凝固を目的とする医療機器である.発振周波数
4MHz付近の高周波電流を利用することで熱損傷範囲と組織炭化を抑制し,瘢痕予防を重視する手術での微細な操作に用いられる.利点を有する一方で,特に高い周波数帯の高周波電流が他の医療機器に影響を及ぼす可能性が指摘されており,当院においてもラジオ波電気手術器を使用している最中に電動ドリルが動き出す誤作動を経験した.本検討では,ラジオ波電気手術器を使用するときの電動ドリルへの影響について,実験的な環境を設定して検討した.
【方法】
ラジオ波電気手術器と電動式ドリルのハンドピースを両手に把持して平行に保ち,先端をともに宙に浮かした状態で,出力を5(純切開モード)に設定したラジオ波電気手術器のフットスイッチを踏んだ.1秒間出力したときに,スイッチに触れないでいる電動式ドリルが回転したときの回転数の最高値を,ドリル本体の表示板を読み取ることで記録した(無作動の時は0とした).両ハンドピースの間隔は1cm,5cm,10cmと変え,それぞれについて6回ずつ実施した.
【結果】
電動ドリルの回転数の最高値は,ハンドピース間が1cm,5cm,10cmのとき,それぞれ27,167±1,093,283±142,0±0であった.ハンドピース間距離1cmでは,5cm,10cmのときと比較して高い回転数であった(ともにP<0.0001).
【考察】
ラジオ波電気手術器の出力に伴う電動ドリルの誤作動が確認され,その影響はハンドピース間距離が短くなるほど高かった.ラジオ波電気手術器の使用時には電動式ドリルとの距離をとることの重要性が示唆された.高周波電流が他の医療機器に影響する可能性については添付文書に記載されているが,診療現場で生じる具体的な状況が確認された.関係者への情報共有とともに,術者と助手および患者の位置関係を含めた発生条件や影響機器の種類について詳細な検討が必要と考えられた.