第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

保守管理

保守管理

座長:吉岡 淳(仙台赤十字病院)

[57] JCI受審前後での当院の医療機器・医療材料に関する故障,不具合対応への取り組み

相木 一輝1, 藤井 雄介1, 加藤 孝昭1, 一柳 宏1, 中村 智裕1, 小山 富生1, 野口 悟司2, 藤原 道隆2, 長尾 能雅3 (1.名古屋大学医学部附属病院 臨床工学技術部, 2.名古屋大学医学部附属病院 医療機器総合管理部, 3.名古屋大学医学部附属病院 患者安全推進部)

【背景と目的】
医療機器・医療材料に対する故障や不具合に対し,院内での迅速な情報収集と,原因の解明,対応方法の判断など,医療機関としてあるべき機能を整備することが求められている.当院では,2019年2月のJCI受審を契機に,医療機器・医療材料に関する情報をインシデント・アクシデント報告と併用して院内イントラネットで一元的に収集,管理する運用を開始した.現在に至るまでの取り組みについて,報告する.
【取り組み】
当院では,院内全体の医療機器・医療材料を管理する医療機器総合管理部があり,その部署と患者安全推進部が連携し,医療機器・医療材料の故障,不具合報告を入力できるフォームを作成,2018年10月より院内全体で運用開始した.
【結果】
2018年10月~2020年12月までに医療機器に関する報告は2,860件,医療材料では1,146件の報告があり,これまで双方の部署で集約していたデータを共有できるようになった.また,医療機器・医療材料の故障,不具合について,従来のインシデント・アクシデント報告に加え,機器の取り扱い方法や操作の習熟などについて,原因を明確にすることができた.
【考察】
医療機器・医療材料の故障,不具合についての情報を院内全体で集約,共有できる仕組みができるようになったことで,機器・材料の問題なのか,整備の不備なのか,取り扱い方法の間違いであったかなど,情報の解析により問題点を浮き彫りにしやすくなったが,より詳細な解析が必要となる事例については,細部の調査手段が必要である.また,これらの解析結果を関連部署に周知することが重要であるが,その体制が充分に整備されていないことが現状であり,今後の課題である.一方,医療機器管理用データベースとの連携がないため,故障,不具合報告と機器の点検修理情報との照らし合わせは,臨床工学技術部が手作業でおこなっているのが現状である.今後,これらの連携も必要であると考えている.