第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

洗浄1

洗浄1

座長:市橋 友子(聖路加国際病院)

[6] 歯科用ハンドピースの残留蛋白質量測定の試み

加藤 美加, 濱中 郁恵, 齋藤 篤, 高階 雅紀 (大阪大学医学部附属病院 材料部)

【背景と目的】
歯科用ハンドピースは歯の切削により生じる組織に加え,血液,唾液で汚染されやすい.また,内部構造が複雑なことから,残留蛋白質の抽出方法,測定方法については検討する必要がある.今回,臨床で使用されたハンドピースの汚染状況の調査と洗浄効果の検証を試みたので報告する.
【対象と方法】
汚染状況の調査には,臨床使用後の未洗浄ハンドピース(タービン・コントラ),洗浄効果の検証は,臨床使用後のハンドピース(同上)をウォッシャーディスインフェクター(以下WD)で洗浄したものとした.抽出は1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液5mlをハンドピース後部からシリンジで注入し,容器にたまった抽出液をシリンジで吸い上げ,再度注入することを30分間で3回繰り返した.抽出した溶液をBicinchonic Acid(BCA)試薬キット(Thermo SCIENTIFIC社製)を用いて残留蛋白質の測定をおこなった.なお,WDの条件はGETINGE社製中性酵素洗剤を用い,予洗4分,メイン洗浄48℃10分,すすぎ48℃2分,乾燥1分とし,エアブローを5秒おこなった.
【結果】
未洗浄ハンドピース(n=21)の測定をおこない,残留蛋白質量は中央値159.4μg(範囲21.9-737.9)であった.WD後のハンドピース(n=27)の測定では,残留蛋白質量は中央値119.4μg(範囲21.2-303.6)であった.
【考察と結語】
未洗浄ハンドピースは臨床使用の状況によって残留蛋白質にばらつきが顕著にみられた.洗浄後のハンドピースについては,概ね清浄であることが確認された.本学会から公開されている洗浄評価判定ガイドラインでは,一般的な止血鉗子の残留蛋白質の基準(200㎍)について記載されている.今回の結果では200μgを超える器材も含まれ,蛋白質以外の残留物も抽出されている可能性も否定できないため,今後の抽出・測定方法の精査が必要である.