第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

COVID-19/感染防止

COVID-19/感染防止

座長:畠山 登(愛知医科大学)

[60] 集中治療領域におけるCOVID-19に対する医療機器管理について

石川 慶1, 中村 有希1, 太田 雄士1, 田中 勇真1, 宇田 大介1, 楠本 繁崇1, 南 茂1, 高階 雅紀1, 吉田 靖2, 内山 昭則3 (1.大阪大学医学部附属病院 臨床工学部, 2.大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 先進臨床工学共同研究講座, 3.大阪大学大学院医学研究科生体統御医学講座麻酔集中治療医学教室)

【諸言】
新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)専用病棟下における医療機器の管理方法は報告例も少なく,日々発信される情報や経験をもとに,各病院で試行錯誤しているのが現状である.今回,当院の集中治療領域(10床)におけるCOVID-19に対する医療機器管理を経験したので,現状や課題について報告する.
【方法】
COVID-19専用病床における医療機器は,感染防止の観点から各病床に固定配置とした.人工呼吸器は機械内部汚染防止の観点から中央配管からガスを供給するPB840,PB980(Medtronic)を基本とし,患者搬送には空気取込口にHEPAフィルタが装備されているMONNAL T-60 (IMI)を使用した.ECMO装置は充実したモニタリング機能に加え,人工肺ガスの自動フラッシュ機能を有したUNIMO(MERA)4台を優先使用とした.臨床工学技士業務としては,装置の準備,稼働中点検(1日2回),導入,回路交換などの対応を基本1名でおこない,トラブル発生時にはオンコール対応とした.これらの管理方法はマニュアル化し情報共有をおこなった.
【結果・考察】
現在までCOVID-19に感染した医療スタッフはおらず,医療機器を介した院内感染も発生していない.しかし,予想以上の長期化と満床運用が続いたため,COVID-19病床で使用する医療機器の定期点検を遅延なく実施するには,新規患者の受入れ情報や機器の使用状況を含めた日々の情報共有が重要であった.COVID-19病棟では連絡手段が制限されるため,状況確認や応援要請などに時間を要した.そのため対応者は,感染症に対する知識に加え,ECMO回路交換や装置全般のトラブル対応など多様な業務スキルが求められた.今後,後進への教育(OJT,Off-JT)や連携体制の見直しが重要な課題である.
【結語】
COVID-19に対する医療機器管理を経験した.スキルの向上に加え医療者間でのスムーズな情報伝達や連携体制を築くことが重要なポイントと考える.