第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

COVID-19/感染防止

COVID-19/感染防止

座長:畠山 登(愛知医科大学)

[63] 新型コロナウイルスの殺滅菌を目指した紫外線滅菌バリデーションシステムの構築

古田 雅一, 朝田 良子, 秋吉 優史 (大阪府立大学大学院工学研究科量子放射線系専攻)

【はじめに】
新型コロナウイルス感染症が蔓延する中,紫外線の殺菌効果を謳った様々な製品が提案されている.しかし,これらの有効性に対する統一的な滅菌バリデーション基準が未整備であることが,個々の製品の信頼性に不安を与える要因となっている.本講演においては,紫外線を含む種々の殺滅菌法の指標として汎用されている大腸菌や枯草菌芽胞について紫外線強度と殺菌効果の関係を検証するとともに,抗ウイルス試験に汎用されているバクテリオファージQβに対する適用性についても検証し,新型コロナウイルス不活化のバリデーションへの利用の可能性について検証した.
【実験方法】
紫外線強度を標準化した基準照射場を得るために市販の紫外線殺菌灯点灯装置(ミツヤ電器製作所蛍光灯器具 FL-6 NEC 6W 殺菌灯 GL6)を用いた殺菌チェンバーを自作し,殺菌用試料をセットする位置を紫外線(UV-C)の強度を紫外線強度計(ケニス YK-37UVSD)で測定した.試料のセット位置の照射量分布はラジオクロミックフィルム(Far West FWT60-00)により求めた.殺菌用の微生物水懸濁液はそれぞれプラスチック製ディスポーザブルシャーレ(60mΦ)に5mlずつ入れ,所要時間紫外線を照射した.紫外線強度は前述の紫外線強度計でモニタした.照射後の試料はコロニーまたはプラーク計数法により各微生物の生残率を求め,必要に応じ,損傷菌の生成率評価をおこなった.
【結果】
食品や医療用具の殺菌効果の研究の指標と汎用されている大腸菌,枯草菌芽胞,抗ウイルス試験におけるRNAウイルスの指標として用いられているバクテリオファージQβに対する紫外線の不活化条件を調べ,既知の文献や紫外線ランプメーカの技術情報と矛盾しない結果が得られることを確認した.これを新型コロナウイルスに対して報告されている紫外線感受性の情報と照らし合わせて,新型コロナウイルスの不活化の指標として利用するための要件について論じる.