第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

滅菌1

滅菌1

座長:大川 博史(日本ステリ㈱)

[7] 医療施設における滅菌コンテナの無菌性破綻リスク調査

小林 昌範, 藤本 篤志 (㈱ニチオン 大阪オフィス Packaging & Sterile barrier-Lab)

【はじめに】
滅菌コンテナは,医療施設において長期間に渡り繰り返し使用される滅菌包装材であるが,機械装置と異なり保管時の無菌バリア性能を現場において管理できないことが課題として存在していると考えた.実際に海外の先行研究によると,医療現場で使用されている滅菌コンテナに対し,医療環境を再現した模擬装置によるエアロゾルの菌侵入試験を実施したところ,不良率が非常に高かったことが報告されている.これらの先行研究を念頭に,医療施設における滅菌コンテナの使用環境と無菌維持のためのシール性能を調査したので報告したい.
【方法】
滅菌コンテナは,構造上いくつかの部位に分かれ,連携し機密性を保っている.経年的に繰り返される洗浄・滅菌・運搬などの衝撃は,滅菌コンテナの構造に日常的に影響を与えている可能性がある.よって複数の医療施設に対するアンケート調査により,使用環境(使用年数,滅菌プログラム,日常点検,メンテナンス状況など)を把握し,さらに実際に使用されている滅菌コンテナに対し,外観検査と海外の研究により紹介されているシール検査を実施し性能を確認する.
【結果と考察】
滅菌コンテナは再利用され経年的に劣化するものであり,日常的ケアや検証が行き届かない場合は,無菌バリア性能が破綻するリスクがある.滅菌コンテナの保管期間内の安全性(無菌性)を高めるために,定期的なケア(日常点検やメンテナンス)に加え,日常的に現場での運用可能なシール性能を検証する方法が存在するとさらに安全性が向上すると考える.