第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

洗浄評価

洗浄評価

座長:柴田 義浩(国立病院機構熊本再春医療センター)

[70] 清浄性評価のためのタンパク質定量における抽出液の影響

―ビシンコニン酸法とNaOH―

矢野 駿介1, 濱田 莉子1, 宗 佑奈1, 村瀬 萌1, 谷野 雅昭2 (1.川崎医療福祉大学医療技術学部臨床工学科, 2.川崎医科大学附属病院 麻酔・集中治療科)

【はじめに】
手術器械をはじめとした医療機器の清浄性評価のために抽出液を用いて抽出された残留汚染物質のタンパク質定量がなされる.抽出液の溶質は測定に影響することがあり,水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液も例外ではない.本研究ではNaOH水溶液による抽出がビシンコニン酸(BCA)法を用いたタンパク質定量に与える影響を調べた.
【方法】
へパリン加ヒツジ血液約20μg/mLが溶け込んだ0M(対照),0.1M,0.2MのNaOH水溶液に塩酸(HCl)を加えて中和し塩化ナトリウム(NaCl)水溶液としたものと同量の逆浸透膜(RO)水を加えたもの,計5群の検体をBCA法を用いて総タンパク質量を測定し比較した.
【結果】
各群30検体の測定をおこない,対照の21.3±1.1μg/mL(平均±標準偏差)に対し,中和によって0.08Mおよび0.16M NaCl溶液での測定値はそれぞれ21.2±0.6,21.1±1.3μg/mLとなったが,RO水を加えて0.08Mおよび0.16MとなったNaOH溶液中では15.7±1.2,13.6±1.7μg/mLとなった.一元配置分散分析をおこなうと有意差を認め,事後検定によりNaOH水溶液では濃度依存性に低値となった.
【結語】
NaOH水溶液で抽出した残留汚染の総タンパク質量をBCA法を用いて測定した場合,過小評価となりうるが,中和をすれば正しく測定できる可能性がある.