[75] 中央滅菌材料室における蒸気滅菌装置の整備状況に関する調査報告(第2報)
災害発生時,病院内インフラが供給停止した場合に蒸気滅菌装置(以下装置)等の機器が使用不能に陥り,CSSDでの再処理業務に支障を来たす可能性がある.2015年災害発生時の備えについて実態調査をおこない第91回本学会にて報告をおこなった.調査の内容は,装置への蒸気および電気の供給手段,装置周囲の漏水検知器取付の有無,装置に付属する感震計取付の有無,地震による災害発生後に装置を稼働させる判断基準の有無などとした.前回の調査結果を抜粋すると装置への蒸気供給手段は,ボイラ供給型81%,ボイラ内蔵型12%,両方6%であり,電気供給手段は,通常電源67%,非常用電源10%,両方6%,わからない17%という結果であった.報告から5年経過したので同様の調査をおこなった.先行調査の結果では,蒸気供給手段は,ボイラ供給型65%,ボイラ内蔵型24%,両方11%であり,電気供給手段は,通常電源61%,非常用電源4%,両方22%,わからない13%であった.蒸気供給手段は,ボイラ内蔵と両方を採用が前回の調査では18%であったが今回は35%であり,電気供給手段は,非常用電源と両方を採用が前回の調査では16%であったが今回は26%であった.この調査票には,機器の更新時期や病院の構造等については調査できていない部分が存在しているため,詳細を明確にするためには質問数を増やさなければならないという課題がある.調査に協力した施設から「装置の停止,稼働基準が明確に明文化されていないこと,時間外勤務者への指導もしていないことなどの課題が明確になりました」とコメントがあった.当たり前に稼働することが前提の装置であるが,機能が停止すると手術にも影響を及ぼすことがある.災害時の備えとして自施設の状況を把握し様々な関係部署に共有し,手順書などを明文化し訓練も必要と考える.