第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

人工呼吸/透析

人工呼吸/透析

座長:久保 仁(東京大学)

[76] NPPVにおける最適なマスク装着に関する検討

鈴木 哲治, 中島 章夫 (杏林大学保健学部臨床工学科)

【目的】
NPPV(非侵襲的陽圧換気療法)は,挿管を必要とせず専用のマスクを用いて換気を補助する呼吸療法である.NPPVではリーク量を減少させるため,マスクをきつく装着してしまうことがある.その要因の一つとして,マスクの装着方法に基準がない点が挙げられる.そこで本研究では,最適にマスクを装着する力について検討した.
【方法】
クランプアームを取り付けた自動一軸ステージ(SGSP26-100,シグマ光機)を用いて,NPPVの専用マスク(AF811ジェルフルフェイスマスク,PHILIPS)を作成した顔モデルに装着した.顔モデルと専用マスクとの間には,フィルム状の力センサ(FlexiForeceA201-1,NITTA)を配置し,装着する際に加わる力をマルチ入力データ収集システム(NR600,KEYENCE)に力センサからの信号を集約して計測をおこなった.自動一軸ステージを制御することで,専用マスクの装着する力を一定の割合で変化させ,それぞれ,装着する力の大きさでNPPVをおこなった.人工呼吸器(VERA, IMI社)に表示される呼気換気量を1回換気量とし,吸気換気量から減ずることでリーク量を算出した.また専用マスクの装着位置を顔モデルにおける長軸方向上で移動させ同様の計測を実施することで,装着位置について検討をおこなった.
【結果・考察】
自動一軸ステージの制御によってNPPV専用マスクを装着する力が緩くなると,1回換気量を得ることができなくなった.さらにリーク量が増大してしまいNPPVが継続不能となった.また専用マスクを装着する位置では,装着する力を同じ条件とした場合に顔モデルにおける長軸方向で上方向(額側)・下方向(首側)に移動させた時に1回換気量が低下してリーク量が増大した.よって換気量の維持とリーク量の減少に対して,最適な装着する力およびマスクを装着する位置を検討できることが示唆された.