第96回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

人工呼吸/透析

人工呼吸/透析

座長:久保 仁(東京大学)

[78] 集中治療室の人工呼吸器に着目したデータモデルの研究

森 信洋 (亀田総合病院 ME室)

【背景】
本研究は,集中治療室の人工呼吸器に着目し,臨床工学技士が必要とする人工呼吸器の操作と保守点検に関わるデータを包含できるデータモデルを目的とする.
【方法】
人工呼吸器の情報データモデルは,臨床工学技士が必要とする業務構造を抽象化して,統一モデリング言語(Unified Modeling Language: UML)を基本とした参照情報モデル(Reference Information Model: RIM)によって動的観点を補足した.
【結果】
集中治療室における人工呼吸器のデータモデルを構築するには,先行モデルのEntity-Role-Actモデルを基準とし,病院内における医療機器の位置づけと臨床工学技士がおこなう人工呼吸器の範囲を定義した.
PersonはEntityクラスに継承構造を表し,Occupationに関連付けた.また,医師や看護師,および臨床工学技士などのStaffのクラスはOccupationに継承しており,同様に集中治療室に入室される患者に関わるPatientクラスはOccupationに継承する構造を定義した.また,医療機器の操作,保守点検,および不具合は臨床工学技士に関わるActクラスに依存させた.人工呼吸器の操作においては,項目の設定,搬送用人工呼吸器の操作などを定義した.
データモデルをもとにしたデータベースを開発することによって,集中治療室の臨床工学技士が必要とする人工呼吸器の使用中点検のデータを保存することができた.
【結語】
本研究は集中治療室の人工呼吸器の安全データを収集できるデータモデルに関して,医療分野の情報モデルである参照モデル(RIM)の構造を取り入れ,Entity-Role-Actモデルによって表現できることを示した.本データモデルを作成することでデータの拡張性に考慮し,新たに属性の変更を生じても,データモデルとRIMを対応させているため,容易にデータモデルの反映を可能にした.