第96回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

人工呼吸/透析

人工呼吸/透析

座長:久保 仁(東京大学)

[79] 糖尿病を合併した急性呼吸窮迫症候群の分析

森 信洋, 関根 広介, 高倉 照彦 (亀田総合病院 ME室)

【背景】
本研究は集中治療室において人工呼吸器を使用したARDSに着目し,糖尿病を合併した患者予後の考察を目的とする.
【方法】
本研究は,2016年1月1日から2020年12月31日の5年間を調査期間とした.本研究のPECOにおける対象患者はARDSを設定しており非糖尿病と糖尿病を群間比較し,結果は死亡率を設定した.
【結果】
研究期間中,糖尿病を合併したARDSに対して人工呼吸器を使用した患者は,集中治療室入室患者中6.1%(964人中59人)を示し,非糖尿病群は30人,糖尿病群は29人を同定した.
患者背景における糖尿病群の年齢は75[46-87]歳で65%が男性であった.主要評価項目である90日死亡率に有意差は認めないものの,糖尿病群は死亡率が高値であった(40% vs. 52%,P=0.52).
副次的評価項目の集中治療室の在日数と人工呼吸器の使用日数において両群間に有意な差を示さなかった(P=0.60,P=0.71).人工呼吸器の不同調性を分析した結果,両群間に有意な差は認められないものの,高い不同調性を示した(90% vs. 79%,P=0.44).
90日死亡率を従属変数としてCox比例ハザードを分析の結果,急性腎障害のハザードレートが最も高値を示した(HR;3.91, 95% CL;1.42-10.77,P=0.008).
カプランマイヤーによる生存曲線を分析した結果,各死亡率において両群ともに有意な差を示さない一方で(P=0.99, P=0.52),年齢別における80歳以上とARDSの重症においては最も生存率が低いことを示した(P=0.007, P<0.001).
【結語】
本研究は糖尿病を合併したARDSに着目した結果,糖尿病の合併においては死亡率,集中治療室の在日数,および人工呼吸器の使用日数に有意な差を示さなかった.しかし,人工呼吸器の不同調においては90%を示したために,人工呼吸器の適正な設定が必要であることを明らかにした.