第96回日本医療機器学会大会

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Poster presentation

ポスター演題

[P21] 医工連携による医療機器衝撃検知デバイスの開発

吉澤 光崇1, 西尾 俊哉2, 表 則夫2, 磯尾 信行3 (1.社会医療法人抱生会 丸の内病院 臨床工学課, 2.㈱サンテクノ, 3.鳥取県産業振興機構 販路開拓支援部)

【緒言】
輸液ポンプ等の中央管理機器は落下・衝撃(以下衝撃)を受ける機会が多い.しかし強い衝撃を受けた時点で,使用中止し,適切な点検をされないことがある.衝撃を原因とする流量異常,漏電発生等の報告があるが,衝撃を受けたことを外装目視,使用後点検ですべて見抜くことはできない.機種によっては,本体とPCを接続して衝撃ログを確認できるが,手間がかかるために全ての返却機器を確認することは現実的ではない.機器安全保持のため,機器に取りつけて,簡便に衝撃ログを確認できる衝撃検知デバイスの必要性を感じていた.
【方法】
AMED(日本医療研究開発機構)運営の会員登録制サイトにニーズの提案をし,シーズ企業との医工連携をすることでニーズの具現化を目指した.
【結果】
臨床ニーズ抽出委員会(AMED)の審査を受け,本ニーズは有望ニーズとして医工連携コーディネータに公開され,マッチングした㈱サンテクノと衝撃検知システムの共同開発をおこなった.本システムは,衝撃検知センサ,PCアプリ,受信デバイス(PCと接続)から構成される.機器に取り付けた衝撃検知センサを受信デバイスに近づけてデータを読み出し(無線規格IEEE802.15.4),PCアプリ上で衝撃レベルの簡易判定(赤・黄・緑)が可能である.さらに,大きなものから順に最大5つの衝撃値(G値)データをCSVファイルにて閲覧できる.データを読み出すとログはリセットされる.エレベーター乗降程度の衝撃はログに残らない(5G以下).また衝撃時に衝撃検知センサ本体のLEDランプを点滅させる機能をつけた.
【考察】
使用後点検のはじめに衝撃ログを確認することによって,衝撃レベルに応じて適切な対応をすることができる.衝撃時のランプ点滅機能は使用中止を促すことができる.
【結語】
本システムを用いることで,衝撃を受けた機器を逃さず点検することになり,患者に用いる機器の安全が保たれる.本システムは特許出願中である.