第96回日本医療機器学会大会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション3 滅菌供給部門のスマートファクトリー化はありえるのか

座長:久保田 英雄(東京医科歯科大学),酒井 大志(越谷市立病院)

[パネルディスカッション3] タブレットを活用した迅速かつ簡便な各種マニュアルと帳票の作成と今後の展開

佐藤 塁, 菅谷 真明, 村田 卓也, 大町 智之, 伏見 了 (ワタキューセイモア㈱業務本部 SPD管理課)

【背景】
滅菌供給部門では多種多様な器械類を確実な滅菌保証の下に処理することが求められている.そのためには各種マニュアルや帳票の作成,編集,更新が必要であるが,この作業には担当者が多忙な日常業務内において作業時間を捻出しなければならず,適切な滅菌作業遂行への支障ともなっている.
【目的】
現行の紙媒体と比較して文字,写真等の入力,編集,更新が容易と思われる電子媒体(タブレット,ソフトウェア)を活用して上記資料の作成を目指した.
【システムおよび方法】
タブレットはApple社のiPad®を採用し,ソフトウェアにはユーザ自身でデータベース開発が可能なClaris社のFileMaker®を用いた.画面レイアウトは器械名称や処理方法等を入力する文字エリアと写真や動画を挿入するコンテンツエリアで構成した.文字情報はスマートフォンと同様にフリック入力やドロップダウンリストでの入力を可能とした.写真や動画はタブレットに搭載されたカメラで瞬時に撮影,編集が可能である.
【結果】
本システムの使用に際しては若干の教育が必要であったが,システムの活用により日常業務を遂行する中で短時間にマニュアルに係る一連の作業が可能となった.また,担当者からマニュアルに係る煩わしさが払拭され,より高い利便性を求める意欲も生じている.さらに電子化によりキーワード検索による参照の効率化や画像の拡大や動画での閲覧による視認性の向上も得られた.
【考察】
今後は入力の簡便性を踏まえ,本システムで滅菌器への積載記録や借用器械に係る伝票といった多量の文字や画像情報を直接電子データで蓄積することで,迅速な各種解析への活用を目指したい.本システムの活用により滅菌供給部門の各課題を具体的な数値を以て解決に繋げることが容易になり,大規模な資機材の投資をせずにスマートファクトリー化を達成することが可能になると思われる.