第96回日本医療機器学会大会

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Panel Discussion

パネルディスカッション3 滅菌供給部門のスマートファクトリー化はありえるのか

座長:久保田 英雄(東京医科歯科大学),酒井 大志(越谷市立病院)

[パネルディスカッション3] 滅菌履歴管理システム導入による器材再生処理業務の効率化を目指した取り組み

前田 延子, 庄川 久美子 (鳥取大学医学部附属病院 手術部・材料部)

当院は,2010年から高圧蒸気滅菌器材において,器材再生処理とその器材使用に関する様々な情報を電子的にデータベース上に保存し管理するためのシステムを導入している.今年度,過酸化水素低温プラズマ滅菌器材においても滅菌履歴管理システムを導入することを決定した.
当院では,高圧蒸気滅菌法と酸化エチレンガス(以下EOG)滅菌法と過酸化水素低温プラズマ滅菌法の3通りの滅菌法で器材再生処理を実施している.高圧蒸気滅菌器材と過酸化水素低温プラズマ滅菌器材に滅菌履歴管理システムを使用することで,EOG滅菌以外の器材は,滅菌記録の収集と管理の自動化が可能となる.そこで,滅菌記録の自動化による効率化を図り,滅菌業務に関する負担軽減を目的として,EOG滅菌対象器材について他の滅菌方法に移行できないか検討した.それにより,EOG滅菌対象器材の79%は,高圧蒸気滅菌と過酸化水素低温プラズマ滅菌とディスポーザブル化のいずれかの処理方法に移行できた.あわせて,EOG滅菌対象器材が減少したことで,EOG滅菌を週5日から週2日の実施に変更することができた.
滅菌履歴管理システムは,現在のところ円滑に運用でき,滅菌業務の負担軽減や効率化に役立っている.今回,当院が経験した滅菌履歴管理システム導入による器材再生処理業務の効率化を目指した取り組みについて報告する.