第96回日本医療機器学会大会

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Panel Discussion

パネルディスカッション4 失敗からうまれる、まっさらでおもろい発見

座長:齋藤 篤(大阪大学),井口 和江(大阪大学)

[パネルディスカッション4] 教育用手術器械セット活用の明暗と,こんなはずでなかった事故防止対策

大町 智之 (ワタキューセイモア㈱営業本部 請負事業部 滅菌管理課)

【背景と目的】
再生処理を適切に実施することは医療の根幹であり,従事者への教育が重要である.弊社では2018年10月に教育用手術器械セットを独自に準備し教育ツールとして全国に配布をおこなったが,その活用状況は一律ではなかった.また,器械破損,インジケータ類の確認不足および針刺し・切創などの事故事例も継続発生している.事故発生都度,事例に応じた対策を講じているが,従事者全員へ浸透しきれておらず,未対策もしくは未遵守の中で発生している現状がある.以上について,試行錯誤の繰り返しではあるが弊社の取り組みを紹介する.
【セット概要,事故集計成績】
教育用手術器械セットの内容は鑷子類,剪刀類など15種類で構成した.合計22セット準備し,全国10拠点へ配布した.請負に関する事故集計に関しては本部で一括管理をおこなっており,2020年で針刺し・切創20件程,破損180件程などである.
【実際】
教育用手術器械セットの使用実績の中では約70%が現場内,約30%が事業所内であり,さらにその使用内訳として新人教育38%,面接時28%,研修13%,その他21%である.しかし,10拠点中,9拠点しか使用していなかった.事故に関しては,事例に応じた対策を全国に周知しているが,前年比で同等件数であり,まだまだ改善しきれていない現状である.
【考察】
拠点での教育用手術器械セット未使用の理由は,存在の未認知,必要な状況がなかった等が挙げられる.しかし,自社保有器械のため落ち着いて教育できる成果も期待できることから活用提案を続けていく.事故発生後には現場指導,アイテム導入やポスター掲示などの手法にて対策を講じているが,事故発生「ゼロ」は達成できていない.以上,本テーマ「失敗からうまれる,まっさらでおもろい発見」に関して「教育用手術器械セットの積極活用」や「事故防止に対する意識統一と周知」を如何に進めていくのかを検討し続けていく必要があり,今後も新たな手法を検討していく.