[シンポジウム2] フレキシブル電子デバイスを用いた術後モニタリングシステムを目指して
先天疾患,外傷,悪性腫瘍切除後の機能・整容の再建において,遊離複合組織移植はいまや強力な手段である.しかし,その術後モニタリングについてはいまだゴールデンスタンダードが確立していない.その理由は,術後1週間にわたり,いつ,また移植組織のどの箇所で生じるかわからない血流障害に対して,多点で持続的に血流をモニタリングするシステムが開発されていないためである.この問題に対して,工学部における薄層基盤や機械学習のシーズと,医療現場のニーズをつなげ,医師の診察を再現するようなウェアラブル多点血流モニタを研究開発した.はじめは研究者の希望・夢であったアイデアが,多数の共同研究者の協力で共同研究やAMEDの受託研究となり,企業へ導出され,現在は上市を目指したプロジェクトとして開発を継続している.その間には機器の不具合に起因する有害事象,臨床研究法施行への対応,研究代表者のライフイベントなど,予想を上回る困難がいくつも生じたが,この経験がご参考になればとの思いで発表させていただく.