第96回日本医療機器学会大会

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Symposium

シンポジウム2 臨床現場からの医療機器開発

座長:住谷 昌彦(東京大学),中島 章夫(杏林大学)

[シンポジウム2] 医工連携に必要な「技術力×デザイン力」とは

吉岡 淳 (仙台赤十字病院 臨床工学技術課)

間欠的空気圧迫装置の保守管理に関しては,目視による外観,動作確認などの簡易検査しかできなく,加圧値等を計測できる専用のテスターがない.また,装置と下肢に装着する加圧スリーブを繋ぐビニール製の接続チューブは破損し易く,使用前の入念なリーク検査が望まれた.そこで,間欠的空気圧迫装置の心臓部であるコンプレッサーからの空気圧力値やアラーム動作確認,加えて接続チューブまでを検査できる間欠的空気圧迫装置テスターを地域企業と共同開発,市販化して,既存検査に応用した.その結果,今まで不可能だった間欠的空気圧迫装置の性能測定やシステムエラー評価,破損しやすい接続チューブの検査が可能になった.また,間欠的空気圧迫装置の不具合を発見できることから,迅速に自部門で修理をおこなうことができるようになった.
市販化までの開発過程では幾度かの実機を作製して試行錯誤を重ね,コンパクトで多機能なテスターを作製することができた.しかし,ものづくり中小企業の技術力と創造力は素晴らしいが,デザイン力への取り組みはまだまだ十分とはいえない.そこでデザイン会社とタッグを組み,エンジニアとデザイナーが協働することで新しい“カタチ”が生まれた.今後は,ものづくり中小企業と優れた提案力を併せ持つデザイナーとが協働して「技術力×デザイン力」を武器にする持つことで,デザイン性に優れた商品の企画・開発・販売促進に繋がるものと考える.