第96回日本医療機器学会大会

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Symposium

シンポジウム2 臨床現場からの医療機器開発

座長:住谷 昌彦(東京大学),中島 章夫(杏林大学)

[シンポジウム2] スタンドレス輸液ポンプの開発

秋冨 慎司 (医療法人社団 医凰会 医療危機管理部)

【背景】
本邦は災害多発国である.東日本大震災では傷病者の大量搬送が必要であった.JR福知山線脱線事故では,圧座症候群に対する点滴量の管理が困難であった.
【目的】
医療機器開発は平時の運用だけでなく,災害時にも運用できる開発コンセプトは重要である.災害時に求められる課題を抽出し,かつ平時から使用できることを念頭に置いた開発を進めた.
【研究内容】
医学の問題点をスケールシフト学に基づき工学につなげる作業が必要であった.そこから現場の問題点→性能の仕様→技術課題検証→技術の課題→研究課題の流れで進め,また実際に研究費を充てても実行性があるかどうかも明らかにした.医工連携を進めるためには産学官連携が重要であり,今回はいわて産業振興センター,岩手大学理工学部,㈱アイカムズラボとニプロ㈱協力の産学官による連携で課題解決をおこなった.
【結論】
開発した輸液ポンプは,防塵,防水,耐衝撃のみならず,輸液速度は1~1,000ml/hr,専用の輸液チューブを必要とせず,24時間以上の稼動が可能となった.スタンドレスのため院内での患者移動もスムーズになり,患者活動の向上にも貢献できる.