第96回日本医療機器学会大会

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Symposium

シンポジウム4 スマートホスピタルのプラットフォーム

座長:長瀬 清(岐阜大学),藤原 道隆(名古屋大学)

[シンポジウム4] AI画像認識を核とした,手術部総合管理システムの開発

藤田 憲明, 髙橋 典彦 (北海道大学病院 手術部)

多くの病院で防犯や教育などを目的に,監視カメラや術野カメラなどが設置されており,日々大量の動画データが蓄積されている.しかし,一部を除き有効利用されているとはいえない状況と考えられる.近年,AI深層学習の手法が飛躍的に進歩し,動画をリアルタイムで処理し,物体や人物などを検知することも可能になっている.当院でもこの数年で,画像システムや麻酔記録や手術予約,手術機器類の管理などをおこなう,手術部総合管理システムなど,段階的にシステム更新をおこなった.その中で,それぞれのシステム間の連携を強化するだけでなく,特に画像システムから得られる動画データを用いてAI画像処理をおこない,その結果を手術部内の各システムと相互連携することで,手術室の運用効率化と,安全管理に結びつくシステムの開発をおこなっている.これまでも,AI画像認識を用いた「急変検知システム」や,ICタグやバーコードを必要としない,「手術機器管理システム」,画像から麻酔上のイベントを検知し時刻を自動記録する「画像認識を用いた自動麻酔記録システム」などを開発し,発表をおこなってきた.しかしその中で,画像認識以外の手法が必要なこともわかってきており,例えば音声認識やRFタグによる非接触の物品管理システムなど,現在当院では採用されていない様な新たなシステムとの統合も必要と考えられる.手術部は,関わる診療科,コメディカルも多く,扱う物品も針やガーゼといった消耗品から,大型の高エネルギーデバイス,人工関節などの高度医療材料に至るまで多岐に渡り,情報も,バイタルデータから予約情報,在庫管理情報に至るまで幅広く,現状では連携が難しく,システム間のデータフォーマットや通信プロトコルの標準化も急務である.これまでの当院における手術部インテリジェント化の取り組みと,病院再開発の際に実装を検討している次世代の「手術部門総合管理システム」へ向けた課題について検討した.