第96回日本医療機器学会大会

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Symposium

シンポジウム4 スマートホスピタルのプラットフォーム

座長:長瀬 清(岐阜大学),藤原 道隆(名古屋大学)

[シンポジウム4] スマートホスピタルプラットフォーム実現に向けた取り組み

小倉 環 (大成建設㈱ライフサイエンスプロジェクト第一部 医療施設プロジェクト室)

【背景】
医療現場では,後期高齢者の増加や人員不足に加え,新たな感染症の拡大によってより一層厳しい状況下にある.日本が目指すべき未来社会の姿としてSociety 5.0が提唱されてから現在まで,様々な分野の企業がデジタルトランスフォーメーションを推進し,IoTやAI,ロボティクス技術の活用を模索してきたが,医療分野では一部の病院でしか,先進的な試みが進んでおらず,デジタル技術を活用した医療現場における業務効率化,医療安全の向上が急務となっている.
【スマートホスピタルプラットフォーム構想】
施設のBIM(Building Information Modeling)データと,IoT技術を用いた各種データ(ウェアラブル・人や機器の位置情報・ロボット・電波状況・設備状況等)を紐づけることで,利用者が望む最適な管理・運用を,リアルタイムに提供することが可能となる.本取組ではサイバー空間とフィジカル空間を融合させたデジタルツインを中核とするスマートホスピタルプラットフォーム(SHPF)の実現を目指す.
【実現に向けた取組み】
IoT活用事例として,リスト型ウェアラブルデバイスを入院患者に装着し,位置・心拍・歩数・活動量・睡眠状況・転倒を検知するなど,高齢者の無断離院防止や見守りの効率化,ケアプロセスにおける有用性の検証をおこない,良好な評価を得た.また,無線利用する機器が安定して利用できるよう電波状態をモニタリングする仕組みの検証など,人・物・環境情報等を可視化する実証実験をこれまでにおこなった.
【結びに】
SHPFの機能を拡充し,多様な機器やシステムと連携することによって様々なデータが蓄積され,ビッグデータをAIで分析・予測することでさらなる価値が提供できると考える.今後も医療従事者のワークスタイルの変革,患者がより安全に快適に過ごせる施設を目指していきたい.