[特別講演2] 国産手術支援ロボットシステム“hinotori™”の開発
【背景】
ロボットを取り巻く環境において,産業用ロボットの業界では,日本製のロボットがグローバル市場の過半数を占めている.一方,医療用ロボットに目を向けると,アメリカ製のロボットが独占しているという状況にある.そのような中,日本で使用される医療機器が輸入超過であると言われ久しく,日本製の医療用ロボット登場に期待が高まっていた.中でも手術支援ロボットにおいては,米国Intuitive Surgical 社のダビンチサージカルシステムが国内外の多くの病院で受け入れられ,既に数多くの手術で使用されている.国内で使用できる保険範囲も泌尿器科,消化器外科,婦人科,呼吸器外科,心臓血管外科の様々な術式へと広がってきており,その市場は今後も大きく拡大すると予想されている.
【目的】
国産初の手術支援ロボットを開発し,国内での薬事承認を得る.その後市場に投入し,臨床での使用を開始する.
【方法】
マーケットインの発想を重視して開発をおこなう.開発に着手する前に,ロボット支援下手術の第一線で活躍する医師の方々にインタビューを重ねてコンセプトを練る.そしてその結果を元に試作機を製作し,医師の方々に評価いただき,そこで得られる新たな課題を確認する.そしてそこからさらにコンセプトを練り直し,併せて詳細な仕様へ落とし込むというプロセスを定期的におこなう.そして製品としてのコンセプトを固めていく.
発表者の所属する会社へ50%ずつ出資する二社の一つは50年以上にわたる産業用ロボットの開発製造販売の実績を持つ川崎重工業㈱であり,またもう一方の50%を出資する会社は血液などの検査機器を50年以上にわたり開発製造販売し,医療業界に高い知見を持つシスメックス㈱である.プロジェクトでは両社の持つこれらのメリットを最大限に活用して開発を続ける.また両出資会社では賄えない技術についてはオープンプラットフォーム体制を敷き,賛同いただける企業と共に開発をおこなう.
【結果】
数度の試作を繰り返した結果,コンパクト性,高い安全性,意のままに操れる操作性などを重要コンセプトとして設定した.その後市場に投入する製品の開発をおこない,2020年8月に手術支援ロボットシステム“hinotori™”として国産手術支援ロボット初の製造販売承認を取得し,同年12月に国内での販売を開始した.また同月神戸大学にて初の臨床となる前立腺全摘除術を実施し,無事終了した.
【結論】
“hinotori™”は国産初の臨床をおこなった手術支援ロボットシステムとなったが,まだ生まれたばかりの製品であり,これから大きく成長させていくことが望まれる.まず,現在泌尿器科に限定されている診療科を消化器外科,婦人科など多くの外科領域にも使えるよう改良を加えていく.また,開発当初からグローバルを視野に入れた開発をおこなってきており,米国,欧州,アジア地域など各国で必要とされる法規制に合わせて認証取得をおこなっていく.製品の付加価値として,手術時にデジタル情報として得られる医師の方々の手の操作や,ロボットの動作,周辺機器の信号をデータベース化し,手術そのものの効率化への助言や,医療技術の向上や伝承に役立てるような取り組みもおこなっていく.
ロボットを取り巻く環境において,産業用ロボットの業界では,日本製のロボットがグローバル市場の過半数を占めている.一方,医療用ロボットに目を向けると,アメリカ製のロボットが独占しているという状況にある.そのような中,日本で使用される医療機器が輸入超過であると言われ久しく,日本製の医療用ロボット登場に期待が高まっていた.中でも手術支援ロボットにおいては,米国Intuitive Surgical 社のダビンチサージカルシステムが国内外の多くの病院で受け入れられ,既に数多くの手術で使用されている.国内で使用できる保険範囲も泌尿器科,消化器外科,婦人科,呼吸器外科,心臓血管外科の様々な術式へと広がってきており,その市場は今後も大きく拡大すると予想されている.
【目的】
国産初の手術支援ロボットを開発し,国内での薬事承認を得る.その後市場に投入し,臨床での使用を開始する.
【方法】
マーケットインの発想を重視して開発をおこなう.開発に着手する前に,ロボット支援下手術の第一線で活躍する医師の方々にインタビューを重ねてコンセプトを練る.そしてその結果を元に試作機を製作し,医師の方々に評価いただき,そこで得られる新たな課題を確認する.そしてそこからさらにコンセプトを練り直し,併せて詳細な仕様へ落とし込むというプロセスを定期的におこなう.そして製品としてのコンセプトを固めていく.
発表者の所属する会社へ50%ずつ出資する二社の一つは50年以上にわたる産業用ロボットの開発製造販売の実績を持つ川崎重工業㈱であり,またもう一方の50%を出資する会社は血液などの検査機器を50年以上にわたり開発製造販売し,医療業界に高い知見を持つシスメックス㈱である.プロジェクトでは両社の持つこれらのメリットを最大限に活用して開発を続ける.また両出資会社では賄えない技術についてはオープンプラットフォーム体制を敷き,賛同いただける企業と共に開発をおこなう.
【結果】
数度の試作を繰り返した結果,コンパクト性,高い安全性,意のままに操れる操作性などを重要コンセプトとして設定した.その後市場に投入する製品の開発をおこない,2020年8月に手術支援ロボットシステム“hinotori™”として国産手術支援ロボット初の製造販売承認を取得し,同年12月に国内での販売を開始した.また同月神戸大学にて初の臨床となる前立腺全摘除術を実施し,無事終了した.
【結論】
“hinotori™”は国産初の臨床をおこなった手術支援ロボットシステムとなったが,まだ生まれたばかりの製品であり,これから大きく成長させていくことが望まれる.まず,現在泌尿器科に限定されている診療科を消化器外科,婦人科など多くの外科領域にも使えるよう改良を加えていく.また,開発当初からグローバルを視野に入れた開発をおこなってきており,米国,欧州,アジア地域など各国で必要とされる法規制に合わせて認証取得をおこなっていく.製品の付加価値として,手術時にデジタル情報として得られる医師の方々の手の操作や,ロボットの動作,周辺機器の信号をデータベース化し,手術そのものの効率化への助言や,医療技術の向上や伝承に役立てるような取り組みもおこなっていく.