第97回日本医療機器学会大会

Presentation information

Oral presentation

洗浄

洗浄1

Fri. Jun 3, 2022 9:00 AM - 9:50 AM 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:大川 博史(東京大学)

9:40 AM - 9:50 AM

[11] 歯科用デリケート器材の超音波洗浄器における洗浄効果について

太田 知歩1,8, 石黒 有希子1,8, 松尾 明子1,8, 阿部田 暁子2,8, 入江 悦子3,8, 柏井 伸子4,8, 小林 明子5,8, 鈴木 佐栄子6,8, 大町 智之7,8, 後藤 大地7,8, 伏見 了7,8 (1.医療法人社団成扶会馬見塚デンタルクリニック, 2.浅賀歯科医院, 3.入江歯科医院, 4.㈲ハグクリエイション, 5.小林歯科医院, 6.鶴見中央歯科クリニック, 7.ワタキューセイモア㈱, 8.グローバル医科歯科感染管理研究会)

【背景】
う蝕により歯髄が感染し壊死すると,感染
した組織を除去しその空隙を充填する必要があ
る.その際に使われるリーマはらせん状になっ
ており,溝に組織片が付着する.確実な洗浄・
滅菌がなされれば再使用可能であるが,適切な
洗剤と超音波洗浄器での汚染物の化学的・物理
的分解・除去が必要なため,6施設で超音波洗
浄器を用いて洗浄効果を検証した.
【方法】
トマトジュース・卵白を混合し水で希釈した
混合液を6本のマニー社製リーマ28mm#80の
らせん部分に100μg塗布し,同社製マルチホ
ルダーFG&ファイル16本用(以下ホルダー)
で固定し室温にて半日自然乾燥させた.混合
液はキッコーマンバイオケミファ社製ルミテ
スターおよびルシパックA3Surfaceを使用し
てAMP(Adenosine monophosphate)・ADP
(Adenosine diphosphate)・ATP(Adenosine
triphosphate)を測定し,130,000RLU(Relative
Light Unit)前後になるように調製した.ビィ
ソニックス社製EXV-N3(3施設)・カボデン
タルシステムズ社製Q140Ag・ジーシー社製ハ
イパワーソニックHS-I・共和医理科社製KS
-140Nの超音波洗浄器を使用した.希釈・調
製した蛋白質分解酵素入り中性洗剤モリタ製ウ
ルトラクレンザイムとホルダーに立てたリーマ
をガラス製容器に入れて洗浄槽の左右2か所に
置き,5分間と15分間の洗浄後にA3を測定した.
【結果】
6施設中2施設では左側に,4施設では右側
に残留していた.6施設での中央値と標準偏差
は,5分間の左側が56.5と148.9,右側が58.0と
280.2,15分間の左側が36.0と208.7,右側が37.0
と247.3であった.
【考察】
5分間と15分間では15分間のほうが残留が
少なかったが,リーマの溝の洗浄にはフラット
な器材よりも汚染物が残留しやすいため,洗浄
に適した時間設定が必要となる.
【結語】
リーマは把持部がプラスチック製であり,超
音波洗浄においては超音波が減衰するなどの可
能性がある.各医療施設にて適切な洗浄時間を
設定するための検証が必要である.