第97回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

COVID-19/感染防止

COVID-19/感染防止

Fri. Jun 3, 2022 10:00 AM - 10:50 AM 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:一ノ渡 学(岩手医科大学)

10:30 AM - 10:40 AM

[15] 感染低減を目的とした手洗い法のリアルタイム評価

上條 史記, 武田 朴, 佐竹 粋, 徳永 龍之介, 伊藤 奈々, 安藤 ゆうき, 田中 裕香子, 島峰 徹也, 加納 敬, 笠井 亮佑, 荻野 稔, 日向 奈惠, 田仲 浩平, 篠原 一彦 (東京工科大学医療保健学部臨床工学科)

感染防止の基本は手洗いである.手洗いの手
順はWHOのガイドライン(標準法)があるが,
その効果に関する量的評価はされていない.近
年アデノシン三リン酸(ATP)による清浄度
の測定が実用化されたが,結果の良否判定は可
能だが手洗いのどこに問題があったかについて
は把握できない.本研究は手洗いの運動を把握
する目的で手首に装着したモーションセンサか
ら得られる加速度を把握し,その結果と手洗い
の結果を示すATP値を比較測定し,どのよう
な軌道と加速度で手を動かせば効果的な手洗い
ができるかの判定を試みた.はじめに標準法の
手順を参考に本学の学生48名に手洗いをおこ
なわせATP値による評価をおこなった.事後
ATP値の平均は3578[RLU],標準偏差は3246
[RLU]であった.合格となるATP値2000[RLU]
以下の学生は13名であり,指導法の改善が必要
と考えた.この結果を踏まえ,新たに学生7名
と臨床工学技士1名に対し,手首にモーション
センサを装着し標準法をおこない,加速度を測
定し前後でATP値を測定した.洗浄後のATP
値を事前のATP値で除して除去率を求め,事
後のATP値が2000[RLU]以下を合格者とした.
合格者は2名で,事前のATP値は平均32263
[RLU]と60173[RLU]であり,除去率は96.0%
と97.2%であった.全体の事前ATP値の分布は
平均79683[RLU],標準偏差31276[RLU]であっ
た.除去率は平均95.4%,標準偏差は2.0%で
あった.除去率が大きくても事前のATP値が
高いと合格しないこと,加速度の大小と除去率
は大きく関係しないことから,日常的にATP
が下がるように指導する必要があると考えられ
る.また,手洗いの良否判定には事前のATP
値を一定の範囲とし,擦過力の評価が必要であ
ることも考えられる.今後は,測定前に超音波
洗浄をおこなうなどしてATP値をゼロに近づ
け,ATP濃度が一定の溶液に手を浸漬し事前
のATP値を一定の範囲に保ち,擦過力を筋電
図の大きさなどを用いて評価し,事後のATP
と比較し検討していきたい.