手術室

[25] マルチリアルタイム録画・録音を可能にした術中モニタリング

湶 孝介¹, 小久保 安朗² (1.福井大学医学部附属病院 検査部 手術部, 2.福井大学医学部附属病院 手術部)

近年，手術動画の録画・保存の必要性は高く
なっている．録画された映像は，術後に手術過
程を解析することに加え，教育にも用いられて
いる．録画方法は各施設によって様々だが，無
影灯に設置されたカメラの映像，生体情報，術
中モニタリング波形，電子カルテ等それぞれの
信号を一つのエンコーダーに入力し，大型モニ
タにマルチ画面として映し出し，視聴および録
画するのが一般的である．術中モニタリングが
必要な症例では，術中モニタリング装置に動画
を入力しながらモニタリングをおこなうことが
スタンダードになりつつある．しかし，手術映
像と同時にモニタリング波形を録画することが
できず，一方を家庭用のハンディカムを用いて
録画しているのが現状である．その際，三脚を
使用しているが，配線，設置場所が制限される
ため，撮影に必要な視野が確保できないといっ
た問題がある．以上の問題を解決するため，我々
は2020年よりNIM eclipse（Medtronic社製）
を用いて術中モニタリングをおこなっている．
この装置は，HDMI入力機器とWindows10 の
標準機能を使用することで，手術映像とモニタ
リング画面を同期させて録画することができ，
全ての映像を選択的にモニタリング画面に表示
することができる．さらに，手術室内での音声
の録音も同時におこなうことが可能となった．
動画記録画素数は1920×1032，MP4　60分の
動画で約５GB程度である．音声を録音するこ
とで映像だけでは得られなかった手術全体の様
子や手術の流れまでが確認できるようになっ
た．また，記録した動画はGoogleドライブに保
存することで200TBまで安全に保存できる．こ
の装置を使用することで，手術の進行状況を術
野から離れていても把握できるようになり，術
者と情報共有が容易になった．また，録画映像
による教育，研究，術後の振り返りの際に，臨
場感が得られるようになり，モニタリング初心
者の判断力の育成に有用であると考えた．