第97回日本医療機器学会大会

Presentation information

Oral presentation

テレメータ

テレメータ

Fri. Jun 3, 2022 10:00 AM - 10:50 AM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:楠本 繁崇(大阪大学)

10:00 AM - 10:10 AM

[28] LoRaWAN を用いたモニタリングシステムの基礎的検討

石田 開 (地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所)

【背景】
近年,低消費電力かつ長距離伝送を可能とす
る無線通信技術として,LPWAが注目されて
いる.医療現場においては,温湿度管理や医療
機器の稼働状態の把握などにLPWAが用いら
れつつある.特に,COVID-19が蔓延する現代
の医療環境においては,非接触でのモニタリン
グに対する需要は高い.LPWAの代表格であ
るLoRaWAN(以下LoRa)は,免許不要であり,
最大出力20 mW,日本国内では920 MHz帯を
用いて使用が可能である.本研究では,LoRa
の医療現場での応用の可能性を検討するととも
に,導入に向けた課題を検討したので報告する.
【方法】
本研究では,遠隔で温湿度と心拍数をモニタ
リング可能なシステムを試作した.システムは
子機(センサ部)と親機(ゲートウェイ)で構
成される.子機はLoRaの無線チップを搭載し
たArduinoベースのマイコンを用いて,温湿度
と心拍データを親機へ無線伝送する.親機は受
信したデータを外部のアプリケーションサーバ
(TTN)と連携させ,遠隔にデータを可視化で
きる仕様とした.また,LoRaに最適な通信パ
ラメータの検討のため,送信時のデータレート
およびペイロードフレーム値を変更させた際の
LoRa通信の受信の可否を模擬環境で検討した.
【結果】
試作したシステムでは,病棟を模擬した同一
階のほぼすべての箇所において,親機と子機間
で安定した通信が可能であった.データレート
とペイロードフレーム値は小さい程,受信の成
功率が高い結果となった.
【考察とまとめ】
LoRaでは長距離伝送のための周波数拡散技
術が採用されているが,拡散率を高めると大容
量データの送信はできなくなる.一方センサ
データは,2桁の整数値であれば1 byteで済
むため,複数のセンサデータを一つの子機が送
信する場合でもそこまで大きなデータ量にはな
らない.今回試作したシステムは医療機器では
ないが,自宅やホテル療養などの非医療機関に
おいて,簡易的なモニタリングに応用可能であ
ることを示した.