第97回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

技術開発/改良

技術開発/改良

Fri. Jun 3, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:吉田 靖(滋慶医療科学大学)

2:30 PM - 2:40 PM

[36] 医療機器の遠隔操作を可能にする試み(新規点滴台と命名した試作機の製作)

深谷 隆史1,3, 岡本 竜哉2, 濱名 晃子3, 丸岡 豊3, 木村 基3, 大手山 亮4, 渡野邉 哲也4, 藤原 友莉子4, 中尾 圭志5 (1.国立研究開発法人国立国際医療研究センター 臨床工学科, 2.国立研究開発法人国立国際医療研究センター 集中治療科, 3.国立研究開発法人国立国際医療研究センター 臨床研究センター 産学連携推進部, 4.大成建設㈱, 5.㈱松浦電弘社)

【目的】
COVID-19が流行し,陰圧室隔離されている
重症患者に使用する医療機器について,病室の
外からでも操作が可能なデバイスを,医工連携
を通じて試作し検証したので報告する.
【方法】
当院でおこなわれている臨床ニーズマッチ
ング会で,感染予防の観点から病室の外から
安全に医療機器の操作が可能にならないかと
のニーズがあり,東京都医工連携HUB機構を
通じて大成建設㈱とマッチングし,遠隔操作ロ
ボットを設置したシリンジポンプ専用の新規点
滴台を試作した.
【結果】
集中治療室を想定し複数のシリンジポンプ
を操作できるよう,テーブル状の台にロボット
アームを取り付け,テーブル上に3本のポール
を設置し,6台のポンプが取り付けられる点滴
台を試作した.ロボットアームは,点滴台とアー
ム先端に取り付けられた3台の小型カメラの画
面を見ながらゲームパッドで遠隔操作し,ボタ
ン位置までは自動で移動,ボタン上5mmの空
中でアームが静止し,アーム先端の小型カメラ
を確認しながら操作をおこなうと,ボタン押下
に適した力加減を発揮するアームでボタンを操
作する仕様とした.デモンストレーションでは,
ボタン操作および長押しやダイヤルについて
も,ロボットアームによる操作が可能であった.
【考察】
今回製作したロボットアームによる遠隔操
作では,医療機器と直接接続しないこと,投与
にはオペレータの操作が必要なことなどの要因
により,医療機器としての承認が必要ないデバ
イスとなった.本試作機のようなロボットアー
ムを用いて,通常操作と同様の外部からの操作
をおこなうことにより,汎用性のある医療機器
の遠隔操作デバイス開発の可能性が示唆された.
【結語】
医療機器の遠隔操作が可能なロボットアー
ム付き新規点滴台を,医工連携を通じて企業と
連携し試作した.シリンジポンプのロボット
アームによる外部からの操作は可能であり,医
療機器の承認が必要なく,医療機器の遠隔操作
についての可能性が示唆された.