第97回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

臨床工学

臨床工学

Fri. Jun 3, 2022 2:00 PM - 3:00 PM 第2会場 (アネックスホール F203)

座長:加藤 伸彦(北海道情報大学)

2:30 PM - 2:40 PM

[4] 液滴の体積変化に関する研究

間瀬 智瑳, 堀内 邦雄 (工学院大学大学院工学研究科機械工学専攻)

【はじめに】
滴下制御方式の輸液ポンプは点滴筒内に滴
下する液滴体積が変化すると流量誤差が生じ
る.この研究の目的は表面張力と粘度を変化さ
せ滴下口を滴下する.1滴の体積を正確に測定
し,液滴体積の変化量を明らかにすることであ
る.液滴体積の測定のために液滴バイパス装置
が作製された.液滴バイパス装置は滴下口から
断続的に滴下している液滴を間欠的に電子天秤
に滴下させ液滴体積を正確に測定するものであ
る.
【実験方法】
JIS T 0601-2-24の測定方式を一部改変し,電
子天秤で1滴の質量の測定をおこない,液滴体
積を計測した.表面張力は主にエタノール水溶
液の濃度により変化させ,粘度は主にブドウ糖
液の濃度により変化させた.滴下口はTERUMO
社の輸液セットTI-U750とJMS社の輸液セット
JY-PB323PLの計2種類でおこなった.
【結果】
20滴/mLの滴下口の場合,理論上の液滴体積
は50.0mm3である.表面張力の値を71.2mN/m
から45.0mN/mまで変化させると液滴体積は
55.7mm3から37.6mm3に大きく変化した.一方
で,粘度の値を2.3mPa・sから6.0mPa・sまで
変化させると53.3mm3から52.2mm3と変化はほ
ぼなかった.
【まとめ】
表面張力の変化により液滴体積が大きく変
化することがわかった.そのため,輸液セット
を正しく使用しても表面張力が小さくなると重
大な流量誤差が生じる可能性がある.従って滴
下制御方式の輸液ポンプでは表面張力の変化に
伴う体積変化の補正が必要であると考えられ
る.粘度による液滴体積の変化はほぼ見られな
かった.
今後は実際に使用されている抗がん剤など
で検証をおこなっていく.