第97回日本医療機器学会大会

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Oral presentation

トレーサビリティ

トレーサビリティ

Sat. Jun 4, 2022 10:30 AM - 11:20 AM 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:久保田 英雄(東京医科歯科大学)

10:40 AM - 10:50 AM

[71] 病院内RMD のトレーサビリティ確保に向けた取り組み

大村 久美, 石本 洋子, 小久保 安朗 (福井大学医学部附属病院)

我々は,2014年から総合滅菌管理システム
(ARIES)を運用している.ARIESは,鋼製機
器UDI管理,手術器械使用履歴管理,洗浄滅菌
BI履歴管理,ピッキング工程管理から構成さ
れ,これらの間で特殊通信網を形成し管理をお
こなっている.全ての鋼製機器にGS1データマ
トリックスを刻印してUDI管理をおこない,院
内ネットワークを経由して取得した手術関連情
報と作業ナビゲーションが表示される携帯情報
端末を,種々の作業プロセスで使用している.
ARIES導入前後で,手術件数は約20%増加した
が,作業時間は約30%減少し作業人員の削減を
図ることができ,滅菌コンテナ,器械セットの
組み立てにおいては,セット組み立てミスの件
数が1/20にまで減少したことを,本学会で既に
報告している.ARIESは,RMDの使用頻度が
最も多い手術室で運用をおこない,順調に稼働
しているが,滅菌管理部が管理しているRMD
は手術部以外にも様々な部署に供給されてい
る.病棟,外来では,在庫一元管理を目的と
してGS1コードが刻印されているにもかかわら
ず,トレーサビリティが確保できていなかった.
今回,病棟,外来で使用する「切開縫合セット」
や「抜歯セット」など,特に観血的処置に使用
するセット品(以下セット品)に対し,トレー
サビリティを拡大したので報告する.滅菌管理
部が管理するセット品は1日約20セットであ
るが,セット組みは2人の作業者が目視確認で
おこなっていた.ARIESにのせることで,作
業を1人でおこなうことができるようになり,
作業効率の改善と組み立て間違いの頻度が減少
した.病棟,外来にはRMDと患者を紐付けす
るシステムは構築されていないため,これらの
直接的な紐付けはできないが,払出し部署と日
時を滅菌管理部で管理することで,おおよその
使用患者の特定が可能となった.今回の取り組
みは,病棟と外来におけるRMD管理の質向上
に役立つと考えた.